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遺すべきものと、変えるべきもの

テーマ:まちづくり
昨日は衆議院選挙告示日
うえの賢一郎君は商店街に生まれなので、もちろん長浜商店街連盟としても推薦。
出陣式には応援挨拶をさせていただくことになった。

短い時間だから何をお話すればと思ったが、世界無形文化遺産登録をめざす長浜曳山祭と商店街まちなかについてである。曳山文化を継承していくためには従来の担い手だけでなく、新しい担い手がまちなかに必要だからということにした。

商人というものは古来自らの才覚によってビジネスを切り開いていったのであって、過去に多くの例を見るように、後継者が放蕩すれば存続はかなわない。もちろん住友の廣瀬、三井の益田のような優れた人材を抱えれば別かもしれない。

なので、商店街連盟の会長という立場であるが、「商店街の活性化」という言葉はあまり好きではない。商店街というのは最初から存在していたのでなくて、結果として存在しているからで、商人の集合体とすればそれを守っていくという存在理由はあまり認められない。

しかしながら、曳山祭を育て継承してきたのは間違いもなくまちなかに住む商人たちであった。現在の長浜の中心市街地の存在理由をつきつめれば、曳山文化に代表される商人文化なのだと思う。
遺すべき、いや育てるべきなのは「商店街」という組織ではなく、商人文化を生み出すダイナミズムということになるのだろうが、そこまで行かなくても、継承し続けていくために必要な「家業」という経済基盤なのだと思う。そこには新しい家業としての創業も必要だ。

家業は 稼業や華業や価業であってほしいのだけど、現実は嫁業や暇業や寡業であったりする。
そこを変えていくことが求められるのだと思うのだ。



ふとんを干すということ

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
今日から師走、師も走るほどせわしないという意味らしいが、明日からは候補者走となる。

さて、最近疑問を感じるCMが2つ。一つはファブリーズの「ファブリーズで洗おう」であり、もう一つはレイコップと呼ばれる布団専用掃除機だ。
これを見たらファブリーズとレイコップがあれば布団は干さないでも良いと思ってしまう人が出てくるだろう。

しかし、言うまでもないこと(だったはず)だが布団を干す最大の目的は、一晩にコップ一杯、夏は二杯三杯放出されるといわれる汗を吸ったその湿気を取るためのものである。
太陽光による殺菌効果は副次的なものだ。

もともと、ファブリーズのCMは苦々しく見ていた。洗う目的は汚れを落とすことだ、除菌ではない。もちろん、洗いにくいカーテンやソファ、じゅうたんに対しての消臭など一定の効果はあるかもしれないが、本来はちゃんとクリーニングすべきものである。

CMには男の子たちが出てくるが、もともと発汗の多い世代でもある。汗でじっとりとしたふとんを干さずにファブリーズだけでOK!と思わせてしまうことは危ういと思われないだろうか?

さて干すにしても、昨今は昔のように屋根の上に干すなんてことはしてはいけない。外にはPM2.5、花粉、さまざまなダストなどアレルギーの原因になるものが多く浮遊しているのが現代だ。布団を直に干すことは避けたいし、ましてや屋根の上などは布団をホコリまみれにしているようなものだ。おすすめは、カバーをかけたまま干すということ。天気の良い日に両面30~60分ぐらい干し終わったら、カバーを外して付着したさまざまなダストと一緒に洗うのがベストである。間違っても布団をたたくようなことはしてはいけない。叩かずに、布団専用のヘッドを付けて強力な掃除機で吸うのが良い。どんなものでも「叩けばホコリが出る」・・・が「叩きすぎはホコリを生む」ということも考えてほしいのである。

先日の毛布を上に掛ける件といい、TVをはじめ、マスメディアのいい加減さにも弱ったものである。

オリジナルのウォッシャブルウール敷毛布

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
再来年は大河ドラマが真田丸ということだから、九度山は盛り上がっていることだろう。
和歌山県橋本市の高野口はシール織というパイルの産地である。かつてはこたつ布団にも使われていたモケットという素材もここで織られていた。青野パイルさんはそんな高野口で製造している有数のメーカーさんだ。

青野パイルさん


青野パイルさん2


青野パイルさん3


一昨年、社員研修で工場見学に訪れていろいろと素材のことなど勉強させていただいたのだが、その青野パイルさんでこの秋オリジナル生地を織っていただいた。敷毛布用につかうシール織のウォッシャブルウールの生地である。

もともと既成の生地があったのだが、巾が狭いのでシングルサイズしか作れない。そこで、シングル~ワイドキングまで多様なサイズに対応できるように207㎝という広幅にしてもらった。これだと長さは205㎝程度までに限られるが、巾は好みのサイズで取ることができる。
特にシングルを2つ連結して1つのベッドのように使いたい方には200×200㎝サイズの敷毛布は貴重だから、この巾がなおのこと必要なのである。

できるだけお求め易いようにと、ターゲットプライスはシングルで1万円。従来の既成品からは約25%安くなる。いろいろと工夫やオーダーをしながら、それでも品質だけは手を抜くことなく、仕上がってきた。

オリジナルウォッシャブルウール敷毛布


シール織なので地糸が非常にしっかりしているので、丸洗いにも十分に耐えるものになっている。青野さん曰く「全く問題無いです。生地より先にゴムの方が弱るでしょう」と強気の発言、現場を見ているから安心だ。

ということで、価格は頑張って8%の税込で9,980円。ウールの相場が上がってしまい、正直オリジナルでリスクを負って作った割には原価が厳しくなってしまったのだが、10%への増税も延びた模様だし、今シーズンはこの価格で頑張らせていただくことになる。

サイズも セミダブル・ダブル・クイーン・ワイドキング(200㎝巾)と多様に揃えてみた。
この冬はぜひお試しいただきたいものだ。

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ポリエステル混生地の羽毛布団

テーマ:羽毛ふとんのお話
さて、前回の続きのお話

2.羽毛布団の側地がポリエステル・ポリエステル混が圧倒的になってきた

従来羽毛布団の側生地は綿100%が圧倒的だった。何年か前の綿花高騰の折に、低価格ランクでポリエステル100%やポリエステル混の側生地が増え、今回の羽毛高騰では中級品まで及んできた。

これはポリエステル混が機能性が良くてそうなったのでは決してなく、単にコスト面でそうなっただけなので情けない。

羽毛布団は側生地が軽いほどよく膨らむ=同じ嵩なら少ない充填量で済むという特徴がある。このことは、本来は推奨すべきで、同じ嵩を出すのに1000gと1100gだったら、羽毛の量が少ない方が空気が多いので、羽毛の本来の良さを活かすことができるからだ。

例えば一般的な60番手サテン生地は 135~140g/㎡。これに1300gの羽毛を入れるとする。
80番手のサテンだと115g/㎡ほどだから 5%ぐらい減らすことができる。さらに 100番手のサテンにすると 生地重量は100~105g/㎡ぐらい これだと10%少ない 1150gぐらいで同量の嵩となる。同じ嵩なら空気が多い方が良いのだ。

ポリエステルを生地に使うと、生地の重量を一気に軽くできる。90g/㎡ぐらいも難しくない。上気の例でいえば1050gぐらいでも同じぐらいの嵩がでることになる。
つまり軽量にすることによって、羽毛の量を減らすことができるので、羽毛高騰の折にはコストダウンにつながる。綿100%で90g/㎡の生地を作ろうとすると、細番手の糸を使う必要があるので、かなり高くなるが、ポリエステルなら逆に綿より安くできることが多い。

ところが、ポリエステルやポリエステル混の生地は通気性が悪いという致命的な欠陥がある。繊維断面が円くなっているために、吹き出し防止のダウンプルーフを強くかけないと羽毛の吹き出しがしやすいからだ。
通気度という通気性を見る指標があるのだが、綿60番手サテンが通気度1.5ccぐらいが多いのに比べ、その半分ぐらいになることが多い。つまり、軽くて嵩はでるけど通気性の悪い蒸れやすい布団ができるわけだ。

羽毛布団の良さは、羽毛が呼吸して温度・湿度を調節してくれることが一番だから、その長所を損ねるような生地を使うことはどうかと思う。

ちなみに私の店で使っているオーストリアHEFEL社の生地は綿100%で重量が70~85g/㎡ 通気度は3㏄以上あって、中に使う羽毛は良いものでないといけないが、蒸れ感とは程遠いさらっとした快適な使い心地が得られる。

気密度が高くなっている現代の住宅では、保温もさることながら、どちらかというと湿度調節が快眠にとっては重要な要素となるのである。

HEFEL社にて

オーストリア・ブレゲンツ近郊のHEFEL社工場にて

蔓延する再生羽毛の混入した羽毛布団

テーマ:羽毛ふとんのお話
我が業界では、この2年間が羽毛布団の環境にとって激震ともいえる。原料価格が2~2.5倍、高品質品に至っては3倍近く上がったものもある。

こうなると、現在大きく2つの現象がでている
1.再生羽毛の混入がかなり増えてきた
2.羽毛布団の側地がポリエステル・ポリエステル混が圧倒的になってきた

再生(中古)羽毛の混入は以前から低価格品に多く見られるといわれてきたのだけど、どうも中級品まで増えてきたらしい。それもかなりな割合で。現在では世界の羽毛の供給の1/3が中古羽毛ともいわれているから、蔓延といわれても不思議ではない。

私の店が仕入れているのは、オーストリアのスリープウェル・カウフマン社と日本の河田フェザー社の2社。いずれも羽毛の品質の高さではトップレベルである。その河田さんがこの春から「真羽毛100%」という表示を始めている。
つまり、トレーサビリティがしっかりしていて、成熟した新羽毛で、日本で洗浄選別したものをいう。

河田さんの話によると、こうでもしない限り相当ひどい羽毛(中国や台湾で洗浄選別されたもの)が日本に入ってきているらしい。前にも書いたが、中国で縫製した側に中国で洗浄した羽毛を日本で吹きこみ充填して仕上げると日本製になるが、こういう羽毛布団が非常な勢いで増えているのである。

このままでは信用問題にかかわるので、トレーサビリティがちゃんと取れるようにしたという。
この結果、シベリアやヴァルダイ、ハンガリーのレギュラークラスの羽毛はラインアップから消えた。当然マザーグースやマザーダックという表示も消えたのである。仕入れを厳密にした結果は、冒頭の通り原料価格が大幅なアップとなっている。

逆に、製品価格をある程度で抑えようとすると、原料を厳密にできない=低級なものを使わざるを得なくなるのである。ある意味当たり前の話だ。
羽毛の場合中を開けて見ることもできないし、開けたところでそれがどのレベルかを確かめるには検査に出す必要があるので、消費者にとってはわからない、というのが現状だろう。

河田さんは、真羽毛以外に、リサイクルダウンという取り組みも行っている。これは、はっきりとリサイクルダウンを銘打って、通常の新毛の場合の倍以上きれいに洗浄(透視度が2000mmという)したものを、一流ブランドのダウンジャケットなどに採用されているのだという。これはこれで大切なことだ。

私の店としては、河田さんの真羽毛レベルの羽毛のみを扱い、「中古羽毛が入っていない?」ということに明快にお応えすることができるように、原料にはより厳しいチェックをしていくつもりである。

真羽毛

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曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

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