羽毛の原料価格が25%アップ-当世羽毛事情
テーマ:羽毛ふとんのお話
2014/03/01 16:58
先日、私どもの羽毛原料の調達先である河田フェザーさんが来られて、新しい羽毛の見積りをいただいた。
価格は落ち着いているかと思ったのだが、昨年末からさらに25%の値上げである。価格もだが羽毛のラインアップのバリエーションが非常に少なくなっている。
こうなった原因をお聞かせいただいた。
一昨年からの羽毛原料の高騰は、円安という為替レートの問題でさらに輪をかけたものとなっている。原料が高騰する中で出回ってきたのが、グースにダックを混入するなどはかわいい方で、中古羽毛の混入や増量剤の使用が中国原料中心に非常に増えているという。
たしかに、原料価格が倍になったからといって、そのまま転嫁することは非常に難しい。特に西川などの製造卸は販売部との兼ね合いもあって、そのまま「30%値上げします」とはなりにくい。つまり、値ごろ商品を作らなければならないというのは、私も現場を知っているからよくわかる。
そうなるとどうなるか、販売サイドの要求は目に見えていて「グースダウンで39,800円とか49,800円で販売できるものを」、それに対し商品部サイドはどうするかというと、まず生地を軽量化すること。軽量化することにより、中の充填量を減らせるからなのだ。この1~2年側地が急激にポリエステルやポリエステル混が増えたのはこの理由が大きい。ポリエステルの生地は通気度が悪いが、背に腹は代えられないということだろう。
次に、真面目な原料メーカーに要求しても無理なので、無理を聞きやすい台湾や中国の原料業者に言うことになる。「ハンガリー産でダウンパワーこれぐらいのグースをこの値段でね」。向こうは「はいはい」といって、その価格に合わせた原料を用意する。ハンガリー産という表示をしておけばいいので(場合によっては産地証明書をつければ)、産地を確定するトレーサビリティなどあるわけもなく、グースとダックは2倍以上価格がちがうから、ダックを混ぜて価格合わせをするというのがいいところである。ヴァージン羽毛だけならまだましかもしれないが、低価格への要求がきついと、前述のように中古羽毛を混入させることになる。
河田フェザーさんによれば中古羽毛は流通量の1/3をも占めるそうだから、市場の羽毛布団はほとんど疑ってかからないといけない。カウフマン社ですら、ヨーロッパ市場向けのグースダウンは10~15%ほどダックが混入するそうである(ヨーロッパは表示が日本より甘い)ので、純粋にグースのみの原料を選んでいるぐらいなのだから。残念ながら中国の原料メーカーは利益優先になってしまい、ちゃんとした産地ごとのコントロールができていないという。
結局、訳のわからない羽毛が大量に出回る中で、河田フェザーさんとしては、トレーサビリティのしっかりした長期飼育の本物の羽毛だけに絞ることにしたのだそうである。その結果、従来産地表示をしていた羽毛の中には産地混入されていたものもあったらしく(この理由は河田さんらしく、河田さんの厳しい羽毛のかさ高をキープするために混入していたらしいが)、これらの羽毛はラインアップから消えることになったという。
本物の羽毛だけを選んだ結果が25%アップの価格である。ある程度の規模を動かさなければならない企業として、この決断は非常に難しいものだったと思うが、その姿勢には共感するし、私どもの企業姿勢と一致する。悪貨が良貨を駆逐してもらっては困るのだから。
確かに、価格アップはきついが、品質の確保は羽毛布団を自家製造してお届けする私どもの生命線である。いい加減な羽毛原料を入れて販売するわけにはいかない。
このことはお客様にご理解をいただきたいと思うのである。
河田フェザーさんのホームページには現在の羽毛の状況や取り組みが紹介されている。
羽毛の現状についてはこちらを参照されたい
価格は落ち着いているかと思ったのだが、昨年末からさらに25%の値上げである。価格もだが羽毛のラインアップのバリエーションが非常に少なくなっている。
こうなった原因をお聞かせいただいた。
一昨年からの羽毛原料の高騰は、円安という為替レートの問題でさらに輪をかけたものとなっている。原料が高騰する中で出回ってきたのが、グースにダックを混入するなどはかわいい方で、中古羽毛の混入や増量剤の使用が中国原料中心に非常に増えているという。
たしかに、原料価格が倍になったからといって、そのまま転嫁することは非常に難しい。特に西川などの製造卸は販売部との兼ね合いもあって、そのまま「30%値上げします」とはなりにくい。つまり、値ごろ商品を作らなければならないというのは、私も現場を知っているからよくわかる。
そうなるとどうなるか、販売サイドの要求は目に見えていて「グースダウンで39,800円とか49,800円で販売できるものを」、それに対し商品部サイドはどうするかというと、まず生地を軽量化すること。軽量化することにより、中の充填量を減らせるからなのだ。この1~2年側地が急激にポリエステルやポリエステル混が増えたのはこの理由が大きい。ポリエステルの生地は通気度が悪いが、背に腹は代えられないということだろう。
次に、真面目な原料メーカーに要求しても無理なので、無理を聞きやすい台湾や中国の原料業者に言うことになる。「ハンガリー産でダウンパワーこれぐらいのグースをこの値段でね」。向こうは「はいはい」といって、その価格に合わせた原料を用意する。ハンガリー産という表示をしておけばいいので(場合によっては産地証明書をつければ)、産地を確定するトレーサビリティなどあるわけもなく、グースとダックは2倍以上価格がちがうから、ダックを混ぜて価格合わせをするというのがいいところである。ヴァージン羽毛だけならまだましかもしれないが、低価格への要求がきついと、前述のように中古羽毛を混入させることになる。
河田フェザーさんによれば中古羽毛は流通量の1/3をも占めるそうだから、市場の羽毛布団はほとんど疑ってかからないといけない。カウフマン社ですら、ヨーロッパ市場向けのグースダウンは10~15%ほどダックが混入するそうである(ヨーロッパは表示が日本より甘い)ので、純粋にグースのみの原料を選んでいるぐらいなのだから。残念ながら中国の原料メーカーは利益優先になってしまい、ちゃんとした産地ごとのコントロールができていないという。
結局、訳のわからない羽毛が大量に出回る中で、河田フェザーさんとしては、トレーサビリティのしっかりした長期飼育の本物の羽毛だけに絞ることにしたのだそうである。その結果、従来産地表示をしていた羽毛の中には産地混入されていたものもあったらしく(この理由は河田さんらしく、河田さんの厳しい羽毛のかさ高をキープするために混入していたらしいが)、これらの羽毛はラインアップから消えることになったという。
本物の羽毛だけを選んだ結果が25%アップの価格である。ある程度の規模を動かさなければならない企業として、この決断は非常に難しいものだったと思うが、その姿勢には共感するし、私どもの企業姿勢と一致する。悪貨が良貨を駆逐してもらっては困るのだから。
確かに、価格アップはきついが、品質の確保は羽毛布団を自家製造してお届けする私どもの生命線である。いい加減な羽毛原料を入れて販売するわけにはいかない。
このことはお客様にご理解をいただきたいと思うのである。
河田フェザーさんのホームページには現在の羽毛の状況や取り組みが紹介されている。
羽毛の現状についてはこちらを参照されたい