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アスリートとマットレス

テーマ:ベッドとマットレス、敷ふとんのお話
ロンドンオリンピックに参加したアスリートが自分専用のマットレスを持ち込んだ、という報道があった。

浅田真央ちゃんが使っているというエアウィーブをはじめ、今年は各マットレスメーカーがアスリートやプロ野球選手などをアドバイザーにPR合戦の様相を呈している。パラマウントベッドは日本水泳陣を、西川産業はプロゴルファーの有村智恵を・・・といった具合だ。

先ほども店頭で興味深そうにマットレスをご覧になっていたお客様とお話をすると、やはりその話だ。マットレスに興味を持っていただくことは大変にありがたいのだけど、よくよく考えてほしい。

アスリートと一般の人間は筋肉量がぜんぜん違う。アスリートに合うマットレスが一般の人にも向くだろうか?
そうではないと考えるのが普通だろう。

筋肉量の多いアスリートに必要とされるのは、どんな敷きふとんだろうか?
まず、寝返りがしやすいことが一番だ。筋肉がしっかりしているので体を支えることは十分だから、寝姿勢を正しく保つことが重要だ。代謝量も高いので、発汗した水分をすばやく放出することが求められる。
この条件から考えると、まず低反発マットレスの選択はありえない。どちらかというと高反発系で通気性の良いものということからすると、エアウィーブなどは悪くない。

一方、眠りに問題を抱える一般的な人の傾向は、筋肉量が減って、当然代謝量も減る。寝姿勢を正しく保つことは当然のこととして、体圧分散のバランスをどのようにとるか、がポイントとなる。体圧分散性をあげすぎると、寝返りがしにくくなるわけだ。

先日の日本睡眠環境学会での報告では興味深い結果があった。
低反発・一般的・スーパーハードのマットレスで女子学生を眠らせたところ、主観評価は低反発が悪くなかったが、実際の体動回数を見ると、一般的なマットレスが良く、次いで主観評価が低かったスーパーハードマットレスということだった。

実際には、寝心地を含めた主観評価と、実際の睡眠状態の客観評価をバランスするマットレス選びが必要なのだ。

高反発マットレスと低反発マットレスの違いという記事に関する一考察

テーマ:ベッドとマットレス、敷ふとんのお話
朝日新聞・エアウィーブの広告から

滋賀医科大学睡眠学講座認定 睡眠指導士上級 沢田昌宏

7/28付で朝日新聞でエアウィーブ社の全面広告において、高反発マットレスと低反発マットレスの違いについてスタンフォード大学の実験結果を基に高反発マットレスの方が深部体温の低下が大きく、除波睡眠も多いという結論が出ていた。

記事については、概ね正しい情報と思われるし、このような睡眠の情報が一般に知らされることはいいことだと思う。ただ、スポンサーであるエアウィーブ側が低反発マットレスに対するエアウィーブ=高反発の優位性を示したいがために「高反発と低反発」という比較がなされていたが、実際には、高通気度マットレスと低通気度マットレスの違いとした方が正しいように思われる。

スタンフォード大の実験の要点は素材による熱移動がどうなるかということがポイントで、エアウィーブのような通気性の高い素材は熱の放出が行なわれやすく、低反発マットレスのような密着性が高く、通気性の良くない素材は熱がこもって、深部体温の熱放出がスムーズに行なわれない、ということだろう。

厳密にいうと高反発と低反発の違いというより、素材の通気性によるのではないかと考えられるのだが、記事からは高反発が睡眠が深いという誤解を与えてしまう。例えば高反発マットレスの一方の雄であるマニフレックスはどうなるのか・・・というと、マニフレックスに使われているエリオセルはオープンセルといいながらも、決して通気性が良いとはいえない。じゃあどうなるのか、ということである。

ヒトは深部体温を下げながら睡眠に入る。この時に体温の放出がスムーズに行なわれないと深部体温はなかなか下がらず、深い睡眠(除波睡眠)が得られない。このことは睡眠のメカニズムの初級でもある。

このときに何がポイントとなるかというと
1.寝具の熱移動がどうなるか。
これも、外気温の高い夏は熱移動が早い素材(麻など)がいいし、外気温が低い冬は熱移動が早すぎると、温度が下がりすぎて入眠しにくいということになるので、この場合熱移動は少なめがいいだろう。つまり、季節によって熱移動の要求水準がかわるということだ。

2.寝具の水分移動と発散メカニズムがどうなるか。
快適とされる寝床内は温度33℃湿度50%(55%±5%)とされる。この時に発汗した水分を吸収発散させるしくみがないと、湿度が上がり蒸れやすくなる。特に夏は発汗量も多くなり、室内温度と寝床内温度の差が小さいために、湿気のコントロールが重要となる。この点で低反発マットレスは、体面に密着し、素材の通気性も良くないことから蒸れやすい。体の下の接触面に空気を持つエアウィーブ(同様の素材にE-CORE、ブレスエアー、エアークイーン等)やジェルトロンなどは、空気の循環が早くできるために湿度の発散が早い。それゆえ気化熱を奪い、温度と湿度を下げることにより、快眠の条件を整えやすいといえる。

再度整理すると、良質な睡眠環境を得るための要素として「高反発」と「低反発」という、その表示の根拠すら明確でない(=どの段階から高反発と表示できるのかという指針がない)要素を取り上げて論評するのは科学的とはいえないのではないか、ということだ。
表面の硬さ、反発力、保持力、保温力、吸湿力、水分移動特性、熱遮断性、熱伝導性など寝具の快適環境を左右する要素は多いが、個人の基礎代謝量・発汗量等の違いや好みなどによって、個々に快適な要素は大きく変わってくる。

これらの要素は季節によっても大きく左右される。

最近の日本睡眠環境学会が、これらの要素に肌触りなどの官能特性を加えて、気持ち良さをどのように表現し追求していくかを重要課題としているのは、寝具の性能を単に一要素で判断すべきものではないからだと思われる。

結論
今回の記事は、睡眠のメカニズムについて社会に情報発信したことは、いままでの寝具メーカーが行なってこなかったことであり、評価したい。その一方で、「高反発」と「低反発」という一要素で快適睡眠環境が決まるかのような誤解を与えることは、好ましくないと考える。

新製品:VitalWoodのマットレス

テーマ:ベッドとマットレス、敷ふとんのお話
もうすぐ、今年1月にヨーロッパでオーダーした新しいマットレスが入ってくる。

VitalWoodという、新しい自然素材マットレスのメーカーだ。特徴はウッドスプリング
通常ウッドスプリングというと、ヒュスラーネストやリラックスのようなタイプ

リフォーマエレメント

もしくは

quatrro moto

木の板がクッションでしなる・・・というイメージなのだが、ここのは文字通り木のスプリング。

VitalWoodウッドスプリング

これがラテックスフォームと組み合わさって、腰の部分を支える構造になっている。

VitalWoodOrganicNights

天然100%で非常にユニークだ。実際に展示会場で寝てみたがしっかりしたホールド感が良い。
ということで、この会社のシリーズの一番上位のOrganicNights2のマットレスを注文した。

中心部は天然ラテックスと、オーク材を使った木のスプリング。馬毛とウールとコットンのレイヤーが重なっていて、名前通りオーガニック。
予価はシングルで248,000円 と安くはない・・・というか高い方だが、使っているクオリティと寝心地からいえば、十分ご納得いただけるプライスだと思う。
正直東京で販売するのなら40万円付けても楽勝で売れるだろうなぁ。

自然派のあなたにおすすめしたい。そんな一品。
3本しか入荷しないのでプレミアムが付く???かも?

新製品E-CORE登場

テーマ:ベッドとマットレス、敷ふとんのお話
先日の健康博覧会で見つけてきた新しい素材のマットレスが到着。
寝心地やら、取り扱いやすさをチェックしていたが、結構良い感触であるので、正式取扱決定。

なにで出来ているかというと
E-COREマットレス
E-CORE
E-COREという繊維が3次元構造で組まれていて空気を含み、通気性が抜群だ。

「どこかで見た事あるよね~」

そう、同様の空気を含む立体構造は「ブレスエアー」という東洋紡の素材が、最初に登場した。
最近では浅田真央ちゃんのCMで有名な「エアーウィーブ」もほとんど同じような中身。

なぜ、E-COREなのか。それは先行組の素材だと変形時の音が問題になっているからだ。寝返りをしたときなど身体の移動にともなって、中の素材が変形する。その時に音が出るのだ。

ブレスエアーが登場したのは15年以上も前で、最初は良いかな、と思って試作品を作ってみた。ところが、寝返りをするたびにミシミシとかメリメリという音がする。寝ているときは静かなので、一旦気になり出すとだめなのである。

その後、音は比較的マシになっていったが許容できる範囲ではない。エアーウィーブはブレスエアーよりましだが、最初にサンプルが展示会で出ていたときに試したが、やはり気になる。

E-COREはポリエチレンで出来ていて音があまり気にならない。ゼロではないが、十分実用に耐えると判断した。

もっとも、どの素材もその上に直接寝ると「夏涼しく、冬暖かい」とあるが、実際はそうではない。身体の代謝を考え、皮膚への官能評価を加えて睡眠環境全体として判断するならば、ビラベックの羊毛敷ふとんや羊毛ベッドパッドと併用すべきだろう。

お試しになりたい方は、店頭で無料体験可能である。
もっともこれが全てではないので、試してOKならお求めあれ。

体圧分散というまやかし

テーマ:ベッドとマットレス、敷ふとんのお話
体圧分散、という言葉をお聞きになったことがあるだろうか。
敷ふとん、あるいはマットレスに寝た時に身体にかかる圧力を分散すると良いという話である。
この様な測定機を使って測ることが多い。

体圧分散図

赤い部分は体圧が掛っている、確かに睡眠時の身体への負担を軽くし、不要な寝返りを減らすためには体圧分散性を高めることが大切ではある。

いわゆる「せんべい布団」に代表される硬い敷ふとんは、寝姿勢(背骨の正しい姿勢)の保持はできるのだけれど、肩胛骨・仙骨など出っ張ったところに圧力がかかりやすい。そうすると、鬱血を防ぐための寝返りが増えてしまうわけだが、これは睡眠の質を低下させてしまう。
典型は寝たきりになった場合で、寝返りが打てないと、その部分は褥瘡になりやすい。

ところが、最近はこの体圧分散だけが一人歩きをしているのが気になる。これが全てだ・・・というような。

原因はテンピュールやトゥルースリーパーなどに代表される低反発ウレタンを使ったマットレスのPRだろう。低反発ウレタンはヴィスコエラスティック・フォームと呼ばれ、NASAの宇宙開発の過程で、宇宙飛行士にかかるGをやわらげるために開発された素材である。それゆえ、体圧分散性には非常に優れている。
低反発素材を使わずとも、羽毛の敷パッドやふわふわとした素材の敷布団を使えば体圧分散性能は上がるのだ。

しかし、体圧分散性能が全てではない、というかあくまで副次的なものである。敷布団やマットレスに求められる最大の機能は「寝姿勢の自然な保持」である。背骨の支え方が不自然だと腰痛などの原因にもなる。昔から「柔らかい布団は腰痛になりやすい」といわれたのは、柔らかいと寝姿勢が保てないからだ。また横寝の状態では肩の出っ張りを受け止めることも重要になってくる。

もうひとつ寝返りの容易さも重要なポイントで、この点は体圧分散性能と相反関係になる。身体の型を取らんばかりに変形する低反発タイプは寝返りが打ちにくい。

整理すると 敷布団・マットレスのポイントは
1.寝姿勢の自然な保持
2.快適な寝床内温湿度33℃50%のキープ
3.適度な体圧分散性
4.寝返りがしやすい反発性
となる

ラテックスマットレスの利点は、上記の4つを比較的にバランス良く兼ね備えているからだ。もっとも湿度コントロールはマットレス本体でというより、ビラベックのようなウールのベッドパッド等で行うのが本筋だ。

結局は、自分に合わせてフィッティングすることが大切ということ。靴と同じなのだから

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曳山博物館前の眠りのプロショップSawadaのオーナー
睡眠指導士や睡眠環境コーディネーターの資格を持ち、日夜快眠実現のために、いろいろと寝具やベッドの研究を続けています。

副業として、アートインナガハマなど、街中のまちづくりにもいろいろ関わっています。

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