困ったマザーグース

テーマ:羽毛ふとんのお話
マザーグースというと、ヨーロッパの童謡をイメージする人が多いと思うが・・

日経 土曜日のプラス1の紙面にお困りサポーターで羽毛布団の選び方があった。

生地そのものは概ね正しいのだが、またまたでてきたのがマザーグース。
食肉として約半年ちょっと飼育される一般のグースと違い、数年飼育され、卵を産むための親鳥である。確かに、親鳥には体格の良い鳥が選別されるので、採れる羽毛は確かにいいはずだ。

ところが、毎年ヨーロッパへ羽毛の仕入れに行っているが、マザーグースと名前が付けられたものを私は見たことがない。ずいぶん前にハンガリーのゴドロ農業大学の試験場を訪れたことがあった。
ゴドロ農業大学

確かにマザーグースは居て、卵を一生懸命産んでいる。その卵を孵化して農場へ送り届けるのが役割らしいが、そうそうどこにでもいるものではないらしい。

河田フェザーさんといえば、日本でも有数の羽毛原料メーカーで品質は折り紙付きだ。昨年までは商品リストに「ポーランドマザーグース」というのがあった。ポーランド産の中のトップクラスの原料を指すのだが、昨年からはなくなってしまった。
市場での中古羽毛の混入などあまりに現状がひどいので、トレーサビリティがちゃんとした本物しか扱わないと会社で決めたために、産出先がちゃんと確定しない羽毛はほとんどリストから外れてしまった。当然マザーグースという言葉もなくなっている。

現状では本当の親鳥から採られた羽毛は僅少だといえる。世の中にはとんでもない量のマザーグースやマザーダックが出回っているが、本当に本当なのか?羽毛布団の現場に居るものとしては、到底信じられない。
ダウンの質を表す指標はダウンパワーとしてあるのだから、良質のモノをマザーグースと称して、あたかも親鳥から取りましたよと説明するとは止めるべきではないか?

と言っても、この業界は変わらんだろうなぁ。
「マザーグース」もどきには十分ご注意を。

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