これからの黒壁を考える

テーマ:まちづくり
「黒壁ルネッサンス」は未完に終わった。

その評価にはいろいろあるとは思うが、ビジネスはプロセスより結果だ。いたし方あるまい。が、まちづくりという視点からみると失ったものは大きい。尊敬する先輩が昨年6月ぐらいだったか、「まちづくりとしての黒壁は失われてしまった」と語られた。多くの市民や企業の出資は株式会社黒壁にというより、長浜のまちづくりに向けて行われたはずだが、その精神や絆が多く失われてしまったように思われる。

黒壁という会社の価値を上げようと取り組んだ考え方そのものは妥当なものだが、手法が妥当であったかというと?が残る。提供するサービスの質を上げて客単価をアップしようとすることは、今日の中小企業においては至極当然の戦略だ。しかし、効果が上がるまでに時間がかかり、その間一時的に売上は低下する。そのあたりのマネジメントができなかったといえるだろう。なにより、ガラス文化発信の拠点であった美術館を失ったことは大きい。

ある人曰く「年間200万人も来ていて、赤字になること自体が不思議」と。集客力はあるはずだが、最初は黒壁が集客エンジンであったのに、いつの頃からか大河ドラマの神風だよりになっていたことも否めない。

さて、過ぎたことを悔いても始まらない。もう一度やり直さなければならないのだから。

黒壁の立役者であった笹原さんは「文化の情報発信こそが最も重要」としばしば語られた。
秀吉博のトータルコーディネーターであった出島二郎氏曰く「店そのものが文化にならねばならない」と。
この原点に立つべきではないか?

25年以上たっても、残念ながら黒壁ガラスというものが生み出されていない。過去にいろいろと試みられたが、オブジェ的なものが多かったように思う。しかし、ガラスというものはもともとが実用品として発展し、それがあるスタイルとしてブランド化されてきた。ボヘミア、ヴェネツィア、バカラ等々しかり。

初期はガラス文化の紹介でよかったかもしれないが、いいかげんにガラス文化を生み出すことが求められているのではないか?レストランも体験教室も所詮は時間消費型ビジネスであり、それを支える黒壁というブランドプレステージを生み出すのはガラス文化の創造がもっともふさわしいと思う。

黒壁20周年を契機にアーバングラスコンペティションという運動を私たちは始めた。黒壁のスタッフにも関わっていただいているが、基本的にはボランティアによるまちづくり運動だ。スタジオガラス中心の黒壁とは別に、ガラスによる街なかの空間づくりという新たなガラスの文化創造を目指して始めたものだ。黒壁横の「TOPO SPOT」、四居家裏ポケットパークの「現代の金屏風」、YES長浜角の「ガラスの木漏れ日」などがその成果である。

少なからず関わってきた人間として、黒壁には本物のガラス文化の創造をめざして、新たに始めてもらいたいとと思う。

コメント

  1. ビワコ
    2015/03/06 23:56
    こんばんは。
    効果の確認を待たず、全方位を一気に改装、資金投入。
    ガラス館前のギャラリーと、美術館跡のレストラン、
    いつも人が少なく、心配です。
    2015/03/07 02:09
    当初レストランが目指した顧客層とギャラリーが目指した顧客層は同じだと思います。本来この顧客層を目指すべきだと思います。
    ただ、お客様というのは育てることが必要ですし、それには時間がかかります。ところが黒壁にはお客様を育てるしくみがありません。以前に提案しましたが、魅力づくりが先と云われました。(優先順位としては誤っていません)
    もう一つ、それが実現したとしても、中身は代替できるものです。
    黒壁でしかないものを生み出すとすれば、それは固有のガラス文化であろうと思います。

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