アレルギーと吸湿性

テーマ:眠るための道具・寝具のお話
少し前の話だが、アレルギー体質のお子様をお持ちのお客さんと話していた時に
「お医者さんの先生からポリエステルのおふとんで十分です」と云われた、ときいて開いた口が塞がらなかったことを覚えている。

大変に残念なことに、睡眠の大家といわれる医学界の先生方でも、寝具についてはほとんどご存じないケースが実に多い。いわんや、一般のお医者さんをやである。
滋賀医科大学睡眠学講座の特任教授である宮崎総一郎先生。睡眠のお師匠様であるが、一時、先生が一般向けに講演なさる際に、最後に少しお時間いただいて睡眠環境についてお話させていただくことがあった。先生には大変失礼ではあるが、宮崎先生ほどの方でも、寝具については体系的にも素材効能的にもあまりご存知ではない。

我が業界なら、と思うが、私が首をひねらなければならないことが結構ある。
さて本題にもどそう。

アレルギー対策は、基本的にはダニ・ハウスダストなどのホコリ対策が多い。そのため
1.ダストを出さない素材を選ぶ(ポリエステル等合成繊維系)
2.ダニの出入りしにくい生地や構造にする
3.丸洗いができて清潔な状態を保つ

ということになるが、これらは
1.合成繊維系は吸湿性が悪い
2.ダニが出入りしにくい高密度生地は通気性が悪い
3.丸洗いが容易な寝具は合成繊維系=吸湿が悪い

子どもは基礎代謝量が大人の2~3倍あるので、人一倍汗をかく。入眠後60~90分の一番その汗をかく時間帯に、最も睡眠は深くなり、同時に成長ホルモンが分泌される。逆に汗を吸いきれずに、寝床内の湿度が上がると不快指数が上がって、睡眠が低下し、成長ホルモンの分泌も阻害されるという構造なので、吸湿発散性は非常に重要なのである。

ところが多くの場合、ハウスダスト対策と吸湿発散性の確保は相反することが多い。健全な成長を考えるなら、本来は吸湿発散性を優先すべきだ。昔はみんな木綿わたのふとんだったのだから。
また、アレルギーが発生するかどうかは、使用している寝具のアレルギー対策に影響しないということは2002年にすでにアメリカの学会で発表されている。

つまり、アレルギーがそれほどないレベルなら子どもの寝具は吸湿発散性を重要視するべきだと思う。
吸湿発散性の良い素材は、天然素材に多いが、天然素材なら全て良いかというとこれが難しい。良質の天然素材はホコリが少ないし、悪い素材はホコリやゴミが多い。近年の羽毛布団はますますその傾向にある。

吸湿性のある吸汗ポリエステルがあるではないか、という指摘もあるが、JISの水分移動特性の試験は72時間かけて行うので、あまりあてにならない。
こんな例もある、スケール(うろこ)を取ったウォッシャブルウールと、素のままのウールでは、8時間後の吸湿性能はほぼ同じだが、90分後では素のままのウールのほうが吸湿性が2倍という。

素材メーカーのいうことを、そのままに受けるという危険性がここにもあるのだ。
アレルギー対策というと、どうも極端に走る傾向があるが、本来あるべき機能とのバランスを取ることが大切だと思う。こまめに部屋を掃除するだけでもずいぶんと違うのだから。



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