毛布は布団の上に重ねるのか?「月曜から夜更かし」

テーマ:眠りのお話
10/13のテレビ番組「月曜から夜更かし」で毛布について、「毛布は布団の下にするより上からかけたほうがあたたかい」といった放送がなされたらしい(娘が見ていた)

ちょっとこれはおかしい。
日本の毛布は長年アクリル製がほとんどだった。羽毛布団が登場した時、「合成繊維のアクリルの毛布を下に着ると羽毛布団の吸湿発散の特性が活かせませんので、その場合は上に掛けて欲しい」という説明をお客様にしていたことはある。しかし、これも間違いだった。

もともと布団の暖かさは含む空気の量が基本だ。嵩があると保温力が高まり、薄いと保温力は低下する。真綿やシンサレートなど、嵩にそれほど影響なく比較的に保温力が確保できる素材もあるが、それは置いておいて。
さて実際はどうなのか?

毛布の保温力は「毛布の素材自体の保温力」「重ねがけすることで空気を含む保温力」「接触温感」の3つがあるが、一般に毛布が暖かく感じるのは「接触温感」によるものが大きい。表面が起毛されていたり、毛皮のようなボア状になっていることで、接触した時に暖められた空気を逃がさないしくみである。
毛布素材自体の保温力というのは、例えばウールは汗を吸うことによって吸着熱を発し、温度が上がる。カシミヤやキャメルなどはさらにその能力が高い。が、この機能は毛布を身体に近づけて使わないと生きてこない。

思うに「毛布を上にかけるべし」ということは「重ねがけの保温力を高めることと」「毛布の重量によって布団と身体の間に隙間が少なくなって熱が逃げにくくなる」 この2点に集約されるように思われるのだが、重ねがけの保温力であればより嵩の高い肌ふとん等を重ねたほうが効果的だ。また「毛布の重みで隙間が少なくなる」といういことは、同時に毛布の重みで、布団がおさわって嵩が減り、布団自体の保温力を削ぐことになる。ついでに言えば、重い布団は血管を圧迫するのでおすすめではない。

さらに言えば、毛布を上にすると皮膚に接触するのはカバーということになるが、もちろん毛布のほうが接触温感が高いわけで、毛布を下にしたほうが暖かく感じる。昨今は起毛タイプの冬用カバーがあるので、布団だけで保温力が確保できるのであれば、このようなカバーを使うのもいいかもしれない。

結論をいうと、毛布と布団という言葉だけで表現するからややこしくなる。素材や特性、さらに使う人の体質等によっても最適な組合せは変わるのだ。

私の好みで言うと(というか冬はそれで寒さをしのいでいるのだが)、薄手のカシミヤ毛布を身体にゆるく巻きつけ、肩口が開かないようにして、軽量の羽毛布団をその上に掛けるのがベストだ。
手頃なところで言えば、私どもでドイツから直輸入しているIBENAの毛布は1200~1300gと軽いし(通常アクリル毛布は1800~2800g)、綿60%アクリル40%と保温と吸湿のバランスが適度で、これを下につかっても良いだろう。
ibena毛布

上に掛けるのであれば、実は毛布である理由があまりない。キルトなどの素材や肌ふとんでもいいのである。

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