蔓延する再生羽毛の混入した羽毛布団

テーマ:羽毛ふとんのお話
我が業界では、この2年間が羽毛布団の環境にとって激震ともいえる。原料価格が2~2.5倍、高品質品に至っては3倍近く上がったものもある。

こうなると、現在大きく2つの現象がでている
1.再生羽毛の混入がかなり増えてきた
2.羽毛布団の側地がポリエステル・ポリエステル混が圧倒的になってきた

再生(中古)羽毛の混入は以前から低価格品に多く見られるといわれてきたのだけど、どうも中級品まで増えてきたらしい。それもかなりな割合で。現在では世界の羽毛の供給の1/3が中古羽毛ともいわれているから、蔓延といわれても不思議ではない。

私の店が仕入れているのは、オーストリアのスリープウェル・カウフマン社と日本の河田フェザー社の2社。いずれも羽毛の品質の高さではトップレベルである。その河田さんがこの春から「真羽毛100%」という表示を始めている。
つまり、トレーサビリティがしっかりしていて、成熟した新羽毛で、日本で洗浄選別したものをいう。

河田さんの話によると、こうでもしない限り相当ひどい羽毛(中国や台湾で洗浄選別されたもの)が日本に入ってきているらしい。前にも書いたが、中国で縫製した側に中国で洗浄した羽毛を日本で吹きこみ充填して仕上げると日本製になるが、こういう羽毛布団が非常な勢いで増えているのである。

このままでは信用問題にかかわるので、トレーサビリティがちゃんと取れるようにしたという。
この結果、シベリアやヴァルダイ、ハンガリーのレギュラークラスの羽毛はラインアップから消えた。当然マザーグースやマザーダックという表示も消えたのである。仕入れを厳密にした結果は、冒頭の通り原料価格が大幅なアップとなっている。

逆に、製品価格をある程度で抑えようとすると、原料を厳密にできない=低級なものを使わざるを得なくなるのである。ある意味当たり前の話だ。
羽毛の場合中を開けて見ることもできないし、開けたところでそれがどのレベルかを確かめるには検査に出す必要があるので、消費者にとってはわからない、というのが現状だろう。

河田さんは、真羽毛以外に、リサイクルダウンという取り組みも行っている。これは、はっきりとリサイクルダウンを銘打って、通常の新毛の場合の倍以上きれいに洗浄(透視度が2000mmという)したものを、一流ブランドのダウンジャケットなどに採用されているのだという。これはこれで大切なことだ。

私の店としては、河田さんの真羽毛レベルの羽毛のみを扱い、「中古羽毛が入っていない?」ということに明快にお応えすることができるように、原料にはより厳しいチェックをしていくつもりである。

真羽毛

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