伴走者たち
日経新聞の後ろから2つめに社会人というコーナーがあります。今日は伴走者たちと言うタイトルの2回目。「更生導く落伍の過去」と題して書いていました。
今日の人物は落語家の三遊亭歌武蔵さん(41)。彼はその名の通り、元武蔵川部屋の力士です。親方は現在の理事長の武蔵川親方(元横綱三重の海)です。彼が柔道で小学生で全国優勝。中学卒業時に親方が直々にスカウトに来たらしいです。
入門しましたが、もともと軽い気持ちで入ったため、ついていけず、春場所終了後の入門わずか2ヶ月で東京へ逃げました。東京の鈴木演芸場へ行き、三遊亭円歌に弟子入り志願したそうです。そのときに師匠から出た言葉は「ああ君か。」だったそうです。
実は武蔵川親方は彼が落語を毎晩ヘッドホンで聞いていた事を兄弟子から聞いていて円歌師匠へ電話していたというのです。「少年が訪ねるかも知れません。相撲界には私が連れてきたが、落語は彼が自分で選んだ。面倒を見てやってくれませんか。」といって。
武蔵川親方にやめたいといった時、「男が一度決めた事を破るのか」と厳しく叱られたそうですが、土俵下に今転落しようとする力士にそっと手を差し延べるような気遣い。この事は最近知らされたようですが、素晴らしい話しであります。円歌師匠は後に歌武蔵に武蔵川親方へ詫びを入れさせ子供同然に育て上げられました。
また、わずか2ヶ月で逃げ出した事で、親からは勘当されていたそうです。しかし両親は「うちの子は人より食べるから」と月3万円を円歌師匠に送っていました。師匠は歌武蔵が独立して師匠の家を出るとき、その、とり置いていた札束を歌武蔵に手渡したそうです。
お父さんは勘当した歌武蔵が2つめに昇進して故郷に錦を飾ったとき最前列に陣取られました。
歌武蔵は3人の親(実の親、武蔵川親方、三遊亭円歌師匠)の温かい目で立ち直る事が出来ました。今では自衛隊や刑務所への慰問はライフワークになっているそうです。「ここには交通費を払ってきました。次はここを出てお金を払って寄席に来て。」と締めくくられるそうです。
詳しくは日経新聞のHPにあると思いますが、本当に心温まる話しで思わず目が行ってしまいました。自分の事ばかり考える人間ではなく、人を温かく見守る事が出来る人間になりたいものです。