負担人の判断力
本日、数人の方が記しておられるとおり、着物園遊会でした。私が仕事を始めた昭和59年か翌年か忘れましたが、「本当に集まるのかな?」との心配をよそに、たくさんの参加者が集い以後これまで続いております。
本当に素晴らしいイベントだと思います。初年度に参加した方も今ではいいお母さんを超えて、ご自身の娘さんが参加しておられる人もいるのではないでしょうか?とにかく形を変えこそはすれ、これからも続いて欲しいイベントであります。
さて、着物園遊会の時に私達曳山の山組の町では、毎年着物園遊会の際には曳山を一般公開しております。着物姿のお嬢さんと曳山は本当によく合います。いい風景であります。私ども山組では前の週に曳山を蔵から出して飾りつけ、当日にまた曳き出します。今日も朝から曳き出して公開していました。
そしたら5連勝で来ていた10月の週末の天気。今日で連勝ストップでした。引き分けに持ちこめるかなというとこでしたが、残念ながら12時ごろ負けになりました。朝の曳き出しには妻にいってもらいましたが、12時に片付けると負担人の判断がありました。負担人とは山組の最高責任者で大手町では2人おられます。曳山を動かすのは自治会長ではなく負担人で負担人が動かせと言わないと山は動きません。それくらい曳山の組織は厳格なものです。
大手町の今回の負担人はS酒店さんとK仁さん。大手町は負担人は出番を2回連続で務め、前回の経験者と初の負担人で次回もする人と暗黙の了解でなっています。そんななか、今回のS酒店さんの判断は素晴らしいものでした。
雨が降る事は予想されていました。それで曳山山蔵を開けるのみの公開もありましたが、やはりそれでは良くない。かといって水にぬれたら大変です。負担人は観光の方にも配慮し、曳山を引き出しての公開を行ないましたが、早目の判断で12時の片付けを決定されました。
片付けていると通りすがりの方が「祭りは終わりですか?」と質問されるのです。雨が予想されるため残念ながら片付ける事を説明すると「それはそうです。大切なものですから、雨にぬれたら大変ですね。ご苦労様です。」というあたたかい言葉を授けていただく方もおられました。
胴幕など大切なものを片付け、柱などに養生をした後、曳山を山蔵に入れてから約3分後、雨が降りました。もし、S負担人の的確な判断がなければびしょぬれでした。ちなみによその山では雨にたたられ、後日、幕等を干さなければならなくなったとこもあったそうです。
お客様に山を見せたい、しかし、雨にぬらす事は出来ない。そんななか、まあ、いけるだろうとつい甘い判断をしがちです。今回の負担人の判断は素晴らしいものでした。こうして、芸は一番の壽山は無事雨にぬれる事はなく、次の出番を山蔵で待つことになりました。
S負担人、K仁負担人。お疲れ様でした。素晴らしいリーダーシップを見せていただきました。これで大手町もしばらく安泰であります。