はだしのゲンの作者逝く
安倍内閣が誕生しました。一度退任した首相が再び返り咲いたのは戦後の吉田茂以来のこと。その吉田茂の孫の麻生元首相も入閣しましたが、それは小渕内閣の宮沢喜一さん以来でしょうか?宮沢さんの場合は戦前の田中義一内閣の高橋是清以来でしたから、これらを考えると、本当に異例の内閣ですね。
さて、安倍内閣の顔ぶれが揃う頃、漫画のはだしのゲンの作者である中沢啓治さんが亡くなっておられたことがわかりました。
はだしのゲンは私が小学校の頃だったでしょうか、漫画の少年ジャンプに連載されていました。広島の原爆での中沢さんご自身の実体験をもとに描かれておられ、子供ながら本当に心に強く残るマンガでした。
戦争に反対し、朝鮮人差別にも反対する父親。しかし、原爆投下に伴い、主人公ゲンの父、姉、弟は崩れた家の下敷きになり、近所の人は誰も助けてくれない中でゲンたちは助け出そうとするもかなわず、父たちは燃え広がった火の中で焼け死んでいく。助かったゲンと身重の母親も頼った友人の家で冷たくされます。そして生まれた妹も栄養不足で死んでしまいます。
戦争のむごさ、悲惨さ、そして人間の心がすさんでいく、それらを見せられて子供心にアメリカへの憎しみと、反戦意識が燃えたものです。
私の世代の親は原爆投下の頃はちょうど小学生で、そのころに原爆の放射能を浴びたことで、その子である私たちの世代が白血病などで亡くなっていくドラマや小説、漫画をよく見たものでした。
いろいろと、非難もあったようですが、このはだしのゲンほど強く戦争の悲惨さ、過ちを繰り返さないということを思い知らされた作品はありません。心から冥福を祈るとともに不戦への誓いをしたいものです。