おばちゃんからの手紙
実家の父の妹にあたるおばちゃんから「パソコンの調子が悪い、止まってしまって画面が動かん、なんとかして~」とのSOS。
主人に頼んで見てもらうことに。
どうやらメモリーが足らないのになんでもかんでもソフトを入れたために止まってしまったらしく、メモリーの増設をすることになりました。
このおばちゃん、ネットで買い物はするは、自分で年賀状印刷をするは、なかなかのおばちゃんなのです。
このおばちゃんが、自分で墨で書いた手紙をくれました。
「ええ歌やからみんなにあげよと思って書いたんや。これあんたの分」
手紙
親愛なる子供達へ
年老いた私が ある日 今までの私と違っていたとしても
どうがそのままの私のことを理解して欲しい
私は服の上に食べ物をこぼしても 靴紐を結び忘れても
あなたに色んなことを教えたように見守って欲しい
あなたと話しをする時 同じ話を何度も繰り返しても
その結末をどうかさえぎらずにうなずいて欲しい
あなたにせがまれて繰り返し読んだ絵本の暖かな結末は
いつも同じものでも 私の心を平和にしてくれた
悲しいことではないんだ 消え去っていくように見える
私の心へと励ましのまなざしを向けて欲しい
楽しいひと時に 私が思わず下着を濡らしてしまったり
お風呂に入るのを嫌がるときには思い出して欲しい
あなたを追い回し 何度も着替えさせたり
様々な理由をつけていやがるあなたとお風呂に入った
懐かしい日のことを
悲しい事ではないんだ 旅立ちの前の準備をしている私に
祝福の祈りを捧げて欲しい
いずれ歯も弱り 飲み込む事さえ出来なくなるかも知れない
足も衰えて立ち上がることすら出来なくなったら
あなたが か弱い足で立ち上がろうと私に助けを求めたように
よろめく私に どうかあなたの手を握らせてほしい
私の姿を見て悲しんだり 自分が無力だと思わないで欲しい
あなたを抱きしめる力がないのを知るのはつらいことだけど
私を理解してささえてくれる心だけ持っていて欲しい
きっとそれだけでそれだけで 私には勇気がわいてくるのです。
あなたの人生の始まりに私がしっかり付き添ったように
私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい
あなたが生まれてくれたことで私が受けた多くの喜びと
あなたに対する変わらぬ愛を持って笑顔で答えたい
私のこどもたちへ
愛するこどもたちへ
ご存知の方もいらっしゃると思いますが樋口了一さんの歌だそうです。
2年ほど前に樋口了一さんの友人の角 智織さんのもとに届いた、詠み人知らずのポルトガル語で描かれた散文のような詩で、これに感銘を受け訳し、樋口さんに見せたところ曲をつけられ、この歌が誕生したそうです。
私たちも親をもつ身、いつかは弱っていく親を見なくてはなりません。その時にこんな気持ちを持てたらどんなに気が休まる事でしょう。
当然のことですが、親にしてもらった恩を子は返していくものなんですよね。
この歌はヘルパーなどを仕事に持つ方にも職場で聞いてもらっているそうだと叔母も話してくれました。
おばちゃん、私の分までお手紙ありがとう。
大切にします。