産むは易し

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何年か前、柴犬ココに赤ちゃんを産ますことになった。一度赤ちゃんを産ませておくと、子宮の病気などになりにくらしい。血統書つきの雄犬のところにお嫁入りしたココは順調に行けば、3ヶ月(61日~63日)で出産するという。
さすが犬!人間の十月十日とは比較にならない妊娠期間。
3ヶ月ほど経ってもほとんどお腹の膨らみは、見た目にはわからなかった。父が犬の出産の本を買ってきて「これ読んどき」と渡された。最後のページには〔仮死状態で産まれた場合〕なんでてことも書いてあったが、犬の安産!
犬印の妊婦帯なんかもあるんだから、まぁ簡単に産まれてくるんやろなぁと思いつつ、ほんまに産まれるんかいな。と半信半疑でその日はやってきた。
ちょうど純米吟醸の初搾りの日。忘れもしない1月4日。昼ごろに犬小屋を覗いてみると奥の方になにやらモゾモゾうごめくものが・・・「あ!産まれてる!」 でもココの様子が少しおかしい。なんとも情けない声で鳴いている。
小屋の中をよく見てみるともう一つ黒いかたまりがある。もう一匹の子犬みたい。しかも羊膜がかぶったまま動いていない。とっさに私は指で羊膜を破り中の子犬を取り出した。ココは傍にいてすばやく羊膜と胎盤を食べた。
子犬はぐったりと動かない。え~とあの本の最後に書いてあった仮死状態で産まれた場合なんてところは、なんとなく目を通しただけなので、頭は真っ白。ちょうど主人のお姉さんが来ていたので、「お姉さん!その最後のページ読んで!」と頼み、まず子犬をお湯につけ身体を温めてタオルにくるみ子犬の鼻に口をつけて羊水を吸出して吐くを繰り返しながら、みぞおちのあたりを押して心臓マッサージを繰り返す。もう10分ほど経ったように感じた。
もうダメか!お願い息をして!夢中で羊水を吸い出す。何度目かに、スーと子犬の鼻から息が吸い込めた。
その瞬間子犬はふにゃ~と声をあげて鳴いた。助かった!犬って安産ちゃうのぉ?とっさにそんな言葉が口をついて出た。その後何事もなかったかのように、かいがいしく子犬たちの世話をするココ。子犬の排泄物はすべて綺麗に舐めて小屋の中はいつも清潔だ。誰に教わるでもなく本能というものはすごい。感心させられる。それに比べ人間はどうだろう。育児放棄したり、虐待のニュースが流れるたびに、人間の本能はどうなってしまったのだろうと考えさせられる。
その後仮死状態で産まれたメスの赤ちゃんはオスの赤ちゃんよりコロコロよく太り大きくなった。二匹で遊ぶ姿は見ていてほんとうに微笑ましかった。
2ヶ月になった頃に新しい飼い主にもらわれていった。
あれから何年たっただろうか。ココも今では8歳。人間の歳に換算するとちょうど私と同い年くらい。ココのお陰でいろんな体験をさせてもらいました。今日も暑い中草むらで昼寝をするココであった。

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ゆうこりん

滋賀県の木之本で酒造業をいとなんでおります山路酒造の女将です。
私も、杜氏と一緒に酒造りに励んでおります。

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