4×4=30?店主の四方山話
4×4=30は本当の話です。決して怪しい投資話でも、マルチ商法の勧誘でもありません。
これは、和菓子屋では古くから普通に使用している計算方法なのです。
多くの和菓子の製造過程で準備するもののひとつに、餡玉があります。生地で餡を包み込む作業をする場合、あらかじめ同じ大きさの餡を必要な数だけ準備します。この餡の固まりひとつひとつを「餡玉」と呼び、その作業のことを「餡玉を取る」と言います。
京都の和菓子屋で修業していた頃(菓子の修業以外にも、麻雀やパチンコ、お酒の修業にも日夜励んでいましたが)一日に1,000個以上の餡玉を取ることもしばしば。その際に誰からともなく教わったのがこの計算方法なのです。
4×4の場合、まず一段目に横に4個並べ、それを4列作ります。その上にピラミッド状に積み上げていくと、四段のきれいな山になります(写真)これで30個の餡玉が出来ました。
これを基本に一段目を一列増やしていくごとに10個ずつ増やせていけます。4×5は40個、4×6は50個といった具合に。また、5×8を同様に積み上げていくとちょうど100個になります。
そもそも、何でこんな計算方法が必要なん?カウントしながら取ったらエエやん。と、思われるでしょうが、数が少ない時なら未だしも、沢山取る場合はそう云う訳にもいかないのです。
小さな餡玉を取る場合、一個ずつ重さを量りながら取る訳ではなく、最初に大きさの確認をしたら、あとは感覚に任せて一定のリズムで取っていきます。(もちろん時々は確認しますが)ですから、能率良く且つ誤差が出ないようにするには、不可欠なのです。
でも、こんなん知ってても他には何の役にも立ちませんけどねェ~
「がらたて」って何?
「がらたてって何?」
連休の頃にになると観光客の方が、ウィンドウにある張り紙「がらたて」を目にして、頻繁に聞かれます。「がらたて」って何? たしかに耳慣れない言葉ですよね。
地元の方はご存じかと思いますが、粒あんの入ったおまんじゅうです。写真のように二枚のはっぱではさみ、せいろで蒸しあげています。あんこのまわりは、店によって多少違うようですが、当店のは小麦粉を主体とした生地で、もっちりとした食感です。
「がらたて」は葉っぱの名前です。この葉っぱは古くから日本に広く自生しているツル性の植物で、正式名称が「サルトリイバラ」で、別名「サンキラ」「ヒメカカラ」等、各地でいろんな名前で呼ばれています。
彦根以北の限られた地方では、これをがらたてと呼んでいるのです。そう説明すると、「ああ、サンキラか。」「赤い実の成るやつね。」「トゲがあるのよね。」「山のすそ野に生えてるやつ。」等々と、お客様の方がよく知っておられます。
この葉っぱ、私も以前に、神田山で見かけたことがあります。
九州や、四国地方のお客様で、「この葉っぱでくるんだお餅を、うちらの方では柏餅て言うのよ。」と言われる方が多くみられます。柏の葉が手に入りにくかったことから、がらたての葉で代用していたのでしょうか。
変わったところでは、長野県のある地域では、この葉っぱを使ったお菓子を「がんもどき」とか「がらくた餅」とか呼ぶそうです。
西日本にこの葉っぱを使ったお菓子は多いようですが、中身がお餅であったり、こしあんであったりと様々なようです。
当店では、塩漬けの「がらたて」の葉っぱを使っているので、中のおまんじゅうにも塩気が加わり、汗をかくこの時季にはぴったりですよ。
自家製の粒あんも自慢です。まだ食べたことないという方は、どうぞ一度ご賞味下さい。
「がらたて」の葉の別名や、他地方のこのお菓子にまつわる話を知っている方があれば、教えて下さいね。
ブログデビュー
はじめまして。駅前通りの和菓子屋「藤本屋」です。「しばらく」の茶しん様のお向かいと言えば、地元の方ならおわかりいただけるでしょうか。ういろうやだんごやがらたてや、いろいろ作って商いしております。
ブログは初めてなので、お見苦しい点もあるかと思いますが、どうかご容赦下さい。
今日はまず今月の上生菓子の紹介から。
「清流」
白餡の上に寒天をのせ、青かえでをあしらっています。
「朝顔」
小豆のこし餡をねりきり餡で包み、朝顔の形に仕上げ、真ん中に寒天をひとかけら。
夏の上生菓子には、寒天を使って涼を呼ぶものが多いです。
ねりきり餡というのは、白いんげんを使ったこし餡で、ねばりを出すために白玉粉を加えたものです。それに淡い色づけしています。店によっては、芋を使った芋ねりきりのところもあるようです。ちなみに、ねばりを出すのに小麦粉をつかったこなし餡を上生菓子に使うこともあります。
上生菓子といえば、お抹茶用のお菓子と思われがちですが、普段使いのお茶にもOK。そして意外にコーヒーなどにも合うようです。また、近頃のペットボトルのお茶は濃くおいしくなっていますよね。おしゃれなグラスに冷たいお茶をそそいで、上生菓子で「和の女子会」などいかがですか?もちろん男性陣も!
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