上生菓子「着せ綿」
だいぶ過ごしやすくなってきました。秋の気配もちらほら。
今日ご紹介のお菓子もすっかり秋のものです。
上生菓子「着せ綿」
「着せ綿」というのは、中国の故事にちなんだ言葉です。
9月9日を重陽の節句と言います。重陽というのは、陽の数(奇数)の極である9が重なる日のこと。この重陽の節句の前日に、菊の花に綿をかぶせておいて、その翌朝露を含んだ綿で体をぬぐうと年をとらないとか、顔をぬぐうときれいになれるとかいう言い伝えがあったそうです。
これが、中国より日本に伝えられ、不老長寿を願うため、平安時代には同じ風習が貴族の間で広まったそうです。
菊の移り香りがよくて、女性のあいだでも口コミでひろがったのではないでしょうか?
そこで思い出したことがあります。昔キュウリパックなるものがはやり、子供のころの話ですが、キュウリを顔やうでいっぱいに広げていたことがあります。
今から思えば笑ってしまうのですが、雑誌にも紹介されていたし、まわりの友達もやっていたのです。
いつだったかその話を、化粧品の販売をしている知人にしたところ、「それはなあ、ぜったいしたらあかんことやで。自然界にあるもの(野菜でも花でも)はなにかしらアクというものがあって、それはお肌によくないもの。そのよくないものを除去していい成分だけを抽出したのがこれ。」と化粧品のパンフレットを目の前にドン。うまいなあと思いつつ、キュウリパックの効果は気のせいだったのねと、ひとり笑っておりました。
しかし、キュウリは菊のようにいい香りは無く、むしろ、青臭かったです。女性陣のみなさま、おやりになりませんでしたか?キュウウリパック。
菊の方がはるか美容によさそうで品もあるのに…。なぜキュウリだったのでしょう?
変な話になってしまいましたが、美や長生きを願うのは、今も昔も変わりませんね。重陽の節句、菊の花を飾って甘い物を食べて不老長寿を願うのはいかがですか? 他にも、菊の花びらを浮かべた菊酒を飲むというのもあったようです。
上生菓子「唐撫子」
上生菓子「唐撫子」
煉りきり製の上生菓子です。
「唐撫子」は名前の通り、中国原産の撫子です。別名を「石竹(せきちく)」というそうです。葉っぱが竹に似ているかららしいのですが、花の名前は実におもしろいものです。
この仕事に就くまでは花の名前になど全く興味がなかったし、花そのものにも関心がなかったのですが、生菓子の銘を見てどんな花なのかと図鑑を見たりネットで調べたりしているうちに、いろいろと知ることができました。
花は咲く時期が決まっているものですが、最近は天候がおかしくなってきていて、へんな時季に咲いたりするらしいですね。
寒くなってからの小春日和の日に、狂い咲きといいますか、帰り花が咲いたりすることがありますが、台風などで木が傷めつけられた年に多いといいます。
今年の冬は、返り咲きが見られるのでしょうか。
天候はできるだけ落ち着いた年のほうがいいのですが。今年はとてもへんな夏でしたね。
季節の移り変わり
昨日の朝、店を開けていたら西の空に
こんなおだやかなすじ状の雲が出ていました。
そして、くるりと東の空を見てみると
モクモクと力強い入道雲が下の方からわきあがっていました。まだまだ夏か…と、今日一日の暑さを思ってげんなりしておりましたが。
けれど、季節は一日一日変わって行く様子です。昼間は蝉が頑張って鳴いておりますが、夜になるとコウロギが合唱を始めるようになりました。
我が家ではこれが咲くと夏の終わりを感じます。いつもこの時期に花を咲かせてくれるので。
この花は、ご近所の方に株を分けて頂いたのですが、その時に「夏スイセン」とか聞いたように思うのですが、ネットで調べてみたら夏スイセンはピンクの花だそう。花びらの形もちがう。じゃあこれは何? ご存知の方があったら教えて下さい。
夏の花もそろそろ終わり。今度はコスモスでも植えようかと思っています。
詰め合わせ
お盆ですね。街中はたくさんの家族連れやカップルでにぎわっておりました。
当店にもたくさんのお客様が来て下さり、お土産物を買って行って下さいました。
お土産としていつもよく売れますのは、詰め合わせの商品。
460円
このように小さいものから、
780円
2050円
大きなものまで多種類あるのですが、単品のものよりも、いろんな種類のものが楽しめる「詰め合わせ商品」のほうがだんぜんよく出ます。
いつの頃からでしょうか。
私が嫁にきました25年ほど前では、詰め合わせの商品はそんなにバリエーションはなかったのですが、その後次々とお客様の要望にお応えして、組み合わせを増やしていきました。
それは、なにより核家族化がモースピードで進み、一世帯の人数が急激に少なくなったせいかと思っております。
「おばあちゃん一人のおうちやからなあ、小さいのでいろいろ入ったるのがええわ。」
「夫婦ふたりやの家やし、ケンカせんように二個ずつはいったるのがええわ。」
などなどの声。
少しさびしくもありますが、一人暮らしや夫婦二人の生活も、それはそれで気兼ねなくのびやかにお過ごしになっているのかもしれませんね。そして、そういうお家を訪ねて行く際にお茶菓子を携えて…、と考えてくださるご友人がいらっしゃるのもまた、素敵な事。(なんだか自分の老後のことが、今ちょっと頭によぎりましたが…。)
近頃ではギフトカタログなどを見ていても、美味しい物をすこしずついろいろ、というコンセプトのものが多いよう。
さて、帰省客のユーターンはもうそろそろ始まっているのでしょうか。
お盆のお客様への手土産に、和菓子の詰め合わせはいかがですか?
おはぎ
土用の丑の日に続き、お盆もおはぎを販売いたします。
13・14・15日、三日間の限定販売です。
北海道産の小豆を大きな窯でじっくり炊き上げています。
いつだったか男性のお客様が、店先に置いてあった小豆の袋を見て、
「懐かしー」と、いきなりおっしゃいました。
「な、何がですか?」
とお聞きすると、
「いや、わし、ここの生まれなんや。」
とのこと。
小豆の大袋には帯広のとある地名が。
「十勝の小豆かあ…。」
と、感慨深げな表情のお客様。
帯広の地名と地元の特産品に郷愁の感がわいたのでしょうか。
『故郷は遠くにありて思うもの』と言ったのはだれだったでしょうか。
生まれも育ちも嫁ぎ先もここ長浜の私には、『郷愁』というものがわかりません。ですので、とてもうらやましい気がしました。
お盆には生まれ故郷に帰られる方が多いことでしょうね。
十勝の小豆を使ったおはぎ。お盆のお供え、おやつに、いかがですか?