長浜城
先日、あるお客様が、こんなことをおっしゃって下さいました。
「この『十八万石』っていうお菓子を人にあげたらね、この包装紙をものすごく喜んで、大事に取っとくよと言ってやあたわ。」
よく聞けば、そのお客様のお知り合い、大のお城好きだそうな。ああ、それで…と納得。『十八万石』の包装紙には、ズバリお城そのものが描かれているのですから。
長浜城と、それを取り囲む石垣の絵です。
中身はといえば、こちら。
にっき(シナモン)の入った香り高い落雁です。中にあんこが入っています。
この落雁の模様は、長浜城跡から昭和時代、三回にわたる発掘調査の際に出土した、「三巴文軒丸瓦」を模しています。
長浜城歴史博物館発行の「近世城下町のルーツ・長浜」という本に載っている写真です。
ね、同じでしょう。
長浜城。もし今残っていたとしたら、その姿はどんなだったのでしょうか。
長浜城は、豊臣秀吉が築いた城、というのは全国的にもよく知られていると思いますが、そのあとを山内一豊が治めたというのを、私、大河ドラマの「功名が辻」を見るまで全く知りませんでした。そして、その後、内藤信成、信正という人が入城しておられるそうです(どちらさんでしょう?)。 そしてその後廃城になったとか…。そのあたり、詳しく調べてみたいものです。
なにはともあれ、長浜の深い歴史に感謝です。和菓子は歴史が作るといっても過言ではありませんから。
古~い扇風機
暑くなりましたね。真夏みたいです。耐えかねて昨日、扇風機を引っ張り出しました。
そして、このレトロな扇風機はお店のディスプレイ用に。
横から見るとこんな感じです。
とっても重いです。古いミシンみたいに。
とはいえ、この扇風機、まだまだ現役です。コンセントをつなぐと、ちゃーんと羽が回ります。このように、切り替えの機能もついています。
わかりますか? 0から4までの数字がうってあるのが。左のつまみを数字に合わすと、段階的に羽の回転数が早くなります。
この数字の上に英語が並んでいて、私は最初、微風、涼風、強風等という意味かな、なんて思っていたんですが、ちがいました。よく見ると、こう書いてあります。
Shibaura Engineering Works Ltd Tokyo Japan
「シバウラエンジニアリング…」。店主によると、東芝の前身の会社名だそうです。
いったい製造されたのはいつなんだろう…とあちこちひっくり返してみましたが、そこまでは刻まれておりませんでした。
古き良き時代の扇風機。生涯現役でがんばってほしいものです。
茶香炉
先日、馴染みのお客様に、「宇治に行ったらお茶のものすごいいい香りがして…。」などとしゃべっていましたら、そのお客様がこんなのあるよと、このような物を持ってきて下さいました。
茶香炉です。
お茶の葉をお皿に入れ、
下から火であぶると、
ほ~ら、いいお茶の香りが…。ああ、香りをパソコンで届けられないのが残念です。本当にいい香りがするのです。言葉では言い表せませんが。
興味のある方はぜひ、お買求め下さい。
これは借り物ですゆえ。自分で買おうかどうしようか迷い中…。
糸寒天
前にこのブログでも紹介しました、NHKの木曜時代劇『銀二貫』。見ておられる方はいらっしゃいますでしょうか?
主人公は滋賀県出身の俳優、林遣都君なのですが、この主人公が、恩義のある人の願いをかなえるべく、何年もの間試行錯誤してやっとのことで『糸寒天』を作り上げた、というのが昨日の放送でした。
『糸寒天』。聞いたことがあまりないと思います。スーパーに出回っているのは、ほとんどが角寒天か粉寒天だと思います。と言うか、もそも寒天自体が一般的にあまり馴染みのない食材ですね。
寒天と聞けば一番に思い浮かべるのが、あんみつなどに入っている四角い透明な甘い寒天ではないでしょうか。おいしいですね。
今回ご紹介する糸寒天は、寒天の中で最もこしの強い寒天ができあがります。ですので、一番多く作られるのが、羊羹です。
先走って書いてしまいましたが、もうすぐ羊羹がドラマでも取り上げられるかと思います。
この糸寒天は、まさに羊羹のために造られたようなもの。さて、どんなものかといいますと…、
こんな風に梱包されて配達されます。
アップにすると、このようなものです。
寒天はテングサなどの海藻を煮てまずところてんを作り、それを寒空の下で乾燥を繰り返してして出来るもの。これが普通の角寒天。ところが、そのところてんを、ところてん突きで突いて細くしたものを乾燥させると、こうした糸寒天ができるのです。これはこのドラマの中でも何回も主人公がやっていました。(今現在の製造方法はどんなだかわかりませんが。)
この糸寒天は、羊羹をはじめ、いろいろなものに使います。
これは、当店の羊羹『麗峰伊吹』です。
これから暑くなってくると、他にもこの糸寒天が大活躍します。また寒天系のお菓子を作りましたら、その都度ご紹介いたします。
和菓子屋に無くてはならない『糸寒天』。
ドラマのように試行錯誤して編み出して下さった先人に感謝です。
緑雨
上生菓子「緑雨」
「緑雨」とは、新緑の頃に降る雨の事を言い(ちょうど今日のように)、このお菓子は、葉っぱに残る雨粒を寒天で表しています。
日本語は本当に美しく、同じ雨を表現するのにも幾通りもの言葉がありますね。同じ今の季節の雨でも、五月雨、麦雨などいろいろありますが、「りょくう」と読むこの爽やかな響きが好きです。
雨の表現を他にあげていきますと…、
菜種梅雨 春雨 五月雨 麦雨 篠突く雨 通り雨 秋雨 小ぬか雨 涙雨 氷雨 小夜時雨…
こんな風にそれぞれに風情を感じて見るなら、雨も楽しくなるかも…。(ならない雨もありますよねえ。)