緑の競演
和菓子には、昔から緑の葉っぱが多く使われます。
器としての機能、保存性、葉からの移り香、それから鮮やかな色彩…、等々、古くから和菓子に用いられてきたのには様々な利点があると思われます。
葉っぱを使った当店の和菓子。
〈桜餅〉 〈くず桜〉
〈がらたて〉 〈柏餅〉
〈ちまき〉
葉を使われるようになった理由ですが、上に書きました他に、もうひとつだけ…。願掛けとでもいいましょうか。
柏餅に用いられる柏の葉は、「新芽がでるまで、古い葉を落とさない。」ことから、家系が絶えないとした縁起かつぎがあるようです。そういったことから、江戸時代にこの柏餅が広まったらしく、そのころから端午の節句には食べられていたようです。
ということで、今年も柏餅を始めました。
こしあんの柏餅です。
もうすぐちまきも出ます。
さて、明日から五月です。緑多い季節です。
お休みも多い季節です。お天気もいいです。
みなさん、五月もはりきっていきましょう!
長浜五月人形めぐり
今年も長浜五月人形めぐりが開催されます。
長浜まちづくり役場主催のこの催し物、三月のひな人形めぐりに比べると、展示されるお店の数が若干少ないのですが、「続けることが大事!」とまちやくの方が言っておられました。
当店では毎年同じものを展示しています。こちら。
ちょっと「キモカワイイ」でしょう。
これは、店主の生まれた日に、店主の母の里から送られた金太郎の置物。
長男が生まれた祝いにといただいたものらしいのですが、この金太郎さんの指がかわいそうなことになっていて、とても残念です。
ですがこのふくよかなアゴがなんともいえずかわいらしく、毎年飾っています。
ひな人形めぐりの時と同様、こんなマップも配られていますので、ゴールデンウィークの期間中、ぜひ長浜の街をめぐって、各店舗の五月人形を見つけて下さい。
花菖蒲とのれん
上生菓子「花菖蒲」
濃い紫の色が印象的な花菖蒲。端午の節句には欠かせない花ですが、この花の名はもう夏の季語。そう言えば、あと十日もすれば立夏です。
毎年この菓子を店主が作る頃になると、風が変わります。
「風薫る五月」と言いますが、ここ湖北でも今年は四月のおしまいからして、もう初夏の爽やかな風が吹いております。
この間お客様がこんなことをおっしゃいました。
「この前ここに伺ったのが冬だったんだけど、その時と暖簾のはためき方がなんか違う。なんていうのか、さわやか。通りの向こうから信号待ちで見ていたけれど、暖簾の揺れ方も季節によって違うのね。」と。
なんて情緒のある方なんだろうと感心してしまいました。毎朝なにげなく上げている色あせた小豆色の暖簾。そんな風に見ている人もいるのだなあと、私もじっと見つめました。たしかに、こんな穏やかな晴れた日には、暖簾ものんびりとゆらゆらゆらり。気持ちよさげに風まかせの休日を楽しんでいるような…。
ところで、話は変わってお知らせです。
本日長浜商工会議所等で発売されました、プレミアム商品券。
当店でもお使いいただけますので、購入された方、お会計の際にはお出し下さいませ。
使用期限は8月31日まです。使うのをお忘れなきよう。
爽やかな週末、そしてこれから続くゴールデンな連休を、風まかせにゆら~りと過ごすのもいいかもしれませんね。あえて予定をたてず、気分まかせ風まかせに。
風薫る、いい季節です。
和菓子本読み比べ
今日は和菓子の本の紹介をしたいと思います。
和菓子本といっても、和菓子のレシピ本やお取り寄せ本ではなく、小説です。
読んでいただければ、和菓子が食べたくなること間違いなしですよ(笑)
まず一冊目。
「日の出が走る」 著者・中島久枝
この本は、明治維新直後の東京、横浜を舞台に繰り広げられる、若き和菓子職人たちの奮闘を描いたもの。マンガチックな表紙とは裏腹に、しっかりとした文学作品です。
2冊目は「下町和菓子 栗丸堂」 著者・似鳥航一
舞台は東京の浅草。老舗和菓子屋の跡を継ぐことになった主人公と、彼をとりまく人々との間にひと波乱が…。日常のちょっとした謎を、和菓子を絡めて解き明かしていくとうソフトなミステリー本といったところでしょうか。雰囲気は、あのヒット作「ビブリア古書堂の事件簿」に似ているかも…。あくまでも雰囲気ですが。
そして3冊目は、「春寿堂の怪奇帳」 著者・真鍋卓
表紙の装丁からもわかるように、ファンタジーなお話です。
主人公は妖怪たちの姿が見えてしまうという悲しい習癖(?)のある若者。
その見えてしまうあやかし達と戦ったり、謎解きをしたり…。いろんな事件に巻き込まれるのですが、これもやはり和菓子からヒントを得て解決したりするのです。そのため和菓子に関するうんちくがたくさん出てきて、とても勉強になりました。それもそのはず、著者は、実家が和菓子屋であり、自身も大阪のとある和菓子屋で働いておられるとのこと。どこの和菓子屋でしょう…。行ってみたいです。
どれもこぞって面白かったのですが、一番のお薦めは一冊目の「日の出が走る」です。最後の方で、主人公の父の亡くなった際の謎が解き明かされるのですが、明治維新前後の歴史の背景とあいまって、俄然面白くなり、一気に読み切りました。そして一章一章のタイトルも面白いのです。例えば
「あてがあずれて大福もち」や
「恋のさやあて桜餅」それから
「氷菓子、カモメにたずねる空模様」等々。目次を見るだけでも和菓子が欲しくなってきますよ!
最後にこの本の中に書いてあった一言が胸にぐっときました。「菓子は人を支える」
これは、人生の節目節目に菓子が関わってくる、その人の一日を彩る菓子屋でありたい、人を幸せにする菓子を作りたい、と言った主人公の父の言葉です。この言葉を胸に止め、本を閉じました。
以上お薦め和菓子本3冊でした。是非ご一読を!
よければお貸ししますよ。
上生菓子「春の野」
上生菓子「春の野」
風も雨もそして日差しもずいぶん温かくなって、生き物たちが安心して活動できる季節になってきました。我が家のチューリップもいつのまにか首をにゅにゅーっと伸ばして、つぼみも膨らんできました。
そしてその隣では、土を入れたまま放っておいたプランターの中で、たくましい雑草たちが次々と小さな可愛らしい花を咲かせています。
小さな小さな我が家の「春の野」。蝶々は残念ながらはまだ見かけませんが、近いうちにやって来てくれるのではないかと楽しみにしています。
桜もいいですが、小さな野の花々も魅力的ですね。シロツメグサやオオイヌフグリ、タンポポにツクシ…。町の中ではあまり見かけられないのが残念です。
時間があれば、春の植物に出会える散歩でもしてみたいなと思います。