柏餅始めました
明日から五月。新緑の季節ですね。
郊外に配達に出ると、田んぼに水が張られ、その隣では麦が青々と穂をなびかせていました。久々に通る道で、もうこんな季節なんだと改めて思いました。ついこの間まで桜はまだかと待ちわびていましたのに。時の流れが速すぎます。けれど、目に鮮やかな緑、すがすがしいですね。
当店でもウィンドウの中を衣替えの季節です。まずは…
柏餅
五月の和菓子と言えば、何をおいても柏餅です。
当店のものは黒のこしあんが入っています。まわりの生地がもちもちっとしていておいしいですよ。
この柏餅、古くは江戸時代から作られていたようで、柏の葉っぱには家系が絶えないという縁起の良いいわれがあるとかで、江戸を中心に五月の節句に広まったそうです。
先日のブログで、〈がらたて=柏餅〉とされている地方があること書いた時に、こんな考察をコメントして下さった方がおられました。
江戸時代の参勤交代が柏餅を全国に広めたんじゃないか。そこで地方によっては柏の葉が手に入らず、長浜でいうところの「がらたて」の葉っぱで代用されたのでしょう、と。
まさにそうかもしれませんね。そして、今もなお「がらたて」の葉(地方によっては、『いばら』『サンキラ』いろいろ名前がちがうものの)でもってして「柏餅」を作っておられる地方があるのでしょう。
食文化と歴史は密接な関係がるのだなあと、改めて感じました。
すごいなあと感心すると同時に、とてもありがたいことです。
銀二貫
当店に寒天を卸して下さっている業者さんから、春先にこんなものが送られてきました。
文庫本です。何故本が? と思って同封のお手紙を読んでみますと…。
この本は江戸時代の大阪の寒天問屋が舞台になっており、以前作者がその業者さんのところに取材に来られたとのこと。そして、この本のテレビドラマ化が決まったのを機に、顧客にこの本を配っておられるのでしょう。
で、早速今放映中のドラマを見てみました。普段大河ドラマ以外の時代劇はあまりみないのですが…。すると、おもしろいではないですか! 居川屋という寒天問屋の丁稚が主人公で、大津出身の林遣都君が演じておられます。
そして、店の主が津川雅彦さんなのですが、この人の演技がおもしろい。ユーモアたっぷりの演出です。そして、これぞ商人の鏡とも言えるような、一本筋の通った言動。いろいろと教えられます。けれど、利益を追求しようとすれば、時には理想を曲げねばならないこともあります。ところが、この旦さんは、理想を曲げなかったために、大きな商いの相手を失ったり、手代と丁稚に米を持って逃げられたりで、ただいまお粥と寒天で腹を満たしているという始末です。(録画で見ているので、今はここまでしか見ていません。) まだまだ今後いろいろ騒動がもちあがりそうですが。
商いに限らずどんな仕事でも、理想と現実との折り合いのつけ方は本当に難しいですね。
NHKの木曜時代劇「銀二貫」。是非ご覧ください。滋賀県出身の林君もいい役者さんになられました。
薄味でいこう!
晩御飯にカレーを作っていて、煮えたかどうか食べてみました。
これ、いつものことなのですが、今日はなんだかいつもより人参の味が濃く、甘くてとても美味しかったのです。いつもと同じところで買った人参なのですが、種類が違ったのか、鮮度が違ったのかわかりませんが、とにかくものすごく美味しかった。感動すらしました。これぞ大地の恵み!
そこで思い出したのが、離乳食。
もう二十年も前の話。子供の為にせっせと人参やらカボチャやらジャガイモやらを煮てすりつぶして、薄い薄い味をつけて味見をしたあの時、同じような味がしたなあ…と。
離乳食の指導をたまわった時に、「なるだけ野菜も芋も魚も肉も、自然に近い味で食べさせてあげて。」と言われた栄養士の先生のお言葉を真面目に実行していたあの頃。(二人目三人目となるとだんだんいい加減になっていきましたが)
自然の味と言うのは、こういう味だったんだあ、と改めて感じました。濃い味に慣れてしまっている今日この頃。明日からなるだけ薄味でいこう!
余談ですが、このブログの最初のフレーズで思い出したことがあります。
『煮えたかどうだか食べて見よ。むしゃむしゃむしゃむしゃまだ煮えない…』
これはなんの遊びだったでしょう?
そうだ、始まりは ♪あーぶくだった煮え立った♪ でしたね。よく遊びました。
ばら
上生菓子「ばら」
基本的に、和菓子に洋花が使われることは少ないのですが、薔薇だけはなぜか、当店で随分前から使っている題材です。
それほど、日本に古くから根付いている洋花と言えるのでしょうか。
『バラ』という上品な植物をふだんお目にかかる機会は少ないのですが、時々花屋さんなどで出会う時に、その美しさにはっとさせられることがあります。
深紅のバラは、その深い色とビロードのような質感に、思わず女の情念のようなものを連想してしまいますが、淡いピンクのそれには、可憐な乙女の純情を思わせる清楚な感があり、はたまた黄色いバラには、貴婦人の賢さが表れているような…。これすべて私の主観ですが、そんなイメージをふくらますことが出来るほど、薔薇の種類は多岐にわたり、まだまだ多くの品種が開発中とか。
それにしても、バラの花が咲く乱れるような素敵な庭、いえいえ、ガーデンのあるお洒落な洋館に住んでみたいものです。…とかいう妄想はそっと胸にしまい、今日も仕事に励みましょう。
江北図書館
本日、休業日にてお休みをいただき、木之本に行ってきました。都合で車が使えなかったもので、電車に乗って。
電車で出かけるのは本当に久しぶりで、人がまばらなホームでイスに腰かけ電車をまっているだけで、なんだか満ち足りた気分になってしまいました。
今日の目的はこちら。
木之本駅のすぐ目の前にある『江北図書館』。
この図書館は、全国でも数少ない100年以上も続く私設図書館で、このレトロな外観の印象を裏切らず、中の様子も素敵でした。
これは、入ってすぐのところ。
そして奥に続く廊下。
蔵書の数々も歴史を感じさせるものが多く、これまたレトロなガラスの引き戸の書棚の中にひっそりと並んでいました。私なんぞが手にとっていいのだろうかと思わせるほどの重厚な、そして難しそうな、明治時代の書物がずらり。
今日この図書館を訪れたのは、この雰囲気を味わいたかったのも一つですが、ちょっと調べ物をしたかったのです。
そこで手に取ったのがこちら。
この中に、発見!
「がらたて」の文字が。
そして、表表紙の折り返し部分には、
若かりし頃の嘉田知事のお写真が。この本の著者のおひとりだったようです。
嘉田知事さんには、まだ知事になられる前になんどか「がらたて」を買いにきていただきました。そして」知事になられてからは、息子さんや秘書の方がお見えになって下さいました。
何故「がらたて」を?と思っていたのですが、これで謎がとけました。こういった滋賀の食文化にも興味をもたれていたのですね。ありがたいことです。
実は、がらたての名前の由来や成り立ちを調べていたのですが、詳しくは書いていなくて、でも若い嘉田知事さんにお会いできてよかったです。
他にもこのような滋賀の食文化を扱う本が多数あり、その中の一冊には、えんどう豆を入れたがらたて餅の紹介もあり、おもしろいなあと思いました。でも、確かに郷土に根付いたお菓子なのだということがわかり、うれしかったです。名前の由来はわかりませんが。
この『江北図書館』、なんと、去年『サントリー地域文化賞』なるものを受賞されたようで、長浜の曳山保存会、東近江大凧保存会に次いで3件目だそうです。
こんな素敵な図書館、まだご存知ないという方は、木之本駅のすぐ目の前です。一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
さてさて、せっかく木之本に降り立ったのですから、今日のもう一つの目的、山路酒造さんへと行ってまいりました。残念ながらゆうこりんさんにはお会いできなかったのですが、お母様と楽しいおしゃべりをしてまいりました。もちろんお目当ての『桑酒』もしっかりゲット!(疲れが取れます、これ)
そして、気になる角屋さんに立ち寄ったり、あちこちふらふらしながら家路につこうと駅へ。そして駅下の土産物店でまたお買いもの。
のんびりふらふら、木之本、情緒のある素敵な街でした。ありがとうございました。