ウィリアム・ターナー

テーマ:絵画・写真

イギリスを代表する風景画家 ウィリアム・ターナー(1775-1851)。

風景画というと現代では主流なジャンル。
モネ、ルノワールなど印象派の作家を連想します。

ターナーは、それよりも遡る時代の作家で風景画に革命をもたらした作家でもあります。
しかし、残念ながら日本ではあまり紹介されない作家のひとりです。

そんなウィリアム・ターナーの展覧会が現在、神戸で開催中です。




展覧会の内容は、油彩・素描を中心にターナーの初期から晩年までの足跡を辿る形式。

神話や文学

海や山などの自然や実際に起こった出来事

憧れの地・イタリアを訪れたことをきっかけに描いた作品

また晩年は、風景画の可能性を追及し続け作風も変化していきました。
それは、まるで抽象絵画のような印象を受けます。

展示作品を通して彼の中に住み続けた自然の脅威や崇高さを垣間見ることができる展覧会です。



会場の出口には、ターナーの作品と共に現在のお天気を知らせるパネルがありました。
訪れた人々が記念撮影をしている風景が印象的でした。

当時、決して価値の高いものではなかった風景画が数百年後にはこんなにも愛される題材となったのです。


プーシキン美術館展

テーマ:絵画・写真
6月29日(日)まで愛知県美術館で開催されている「フランス絵画300年 ~プーシキン美術館展~」

その名の通りモスクワ プーシキン美術館所蔵の17世紀から20世紀までの絵画作品が、約70点公開されています。 
愛知・横浜・神戸へと巡回する展覧会です。関西へは、秋に神戸へ巡回します。
一足早く愛知会場で鑑賞してきました。

古典主義を代表するニコラ・プッサンから宮廷文化が開花したロココ絵画。
19世紀、文化の担い手が市民階級へと移行した新古典主義、ロマン主義、自然主義そして印象派。
アンリ・マチスを中心に絵画の革新運動が盛んに繰り広げられた20世紀までの絵画作品を時代や芸術様式に沿って4部門に分けて展示構成されています。

その中でも目玉作品がこちら。
ルノワール作 《ジャンヌ・サマリーの肖像》 1877年

   

チケットやパンフレット、大型のパネルなどでも紹介されていました。
日本では今回が初公開。
当初は、2011年に開催予定でしたが震災などの影響でいったん中止となっていました。待望の来日です!

素敵な女性の肖像画ですがこの女性のモデルは実在した人物だそうです。
ジャンヌ・サマリー(1857-1890)はコメディ=フランセーズで人気を博した女優でした。
ルノワールは、生涯に渡り、3度この女性を描いています。
その中でもこの作品は、モデルのジャンヌ自身も気に入っていて常に身近な場所に飾られ、彼女の死後も遺族が所有していたそうです。遺族の死後、画商を通じ偉大なロシアのコレクター イワン・モロゾフの手に渡りました。

フランス絵画がなぜロシアプーシキン美術館のコレクションになったかというと…
当時の大国フランスへの憧れと、自国の文化を豊かにしようという熱意から偉大なコレクションへと結びついたそうです。

ちなみに私のお気に入り作品は、アングル作 《聖杯の前の聖母》 1841年
アレクサンドル2世が、皇太子時代に依頼して制作させた作品です。
会場で探してみてください。


「フランス絵画300年 ~プーシキン美術館展~」は、横浜へ巡回後、神戸市立博物館へ巡回予定です。
http://pushkin2013.com/intro/   

ゴッホ展

テーマ:絵画・写真
本日より京都市立美術館で開幕した「ゴッホ展」の紹介ですパレット


ゴッホといわれると「ひまわり」や「自画像」など連想しますね。

自らの感情のおもむくままキャンバスや絵筆を介し表現した画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。誰もが一度は見たことのある作家だと思います。


本日よりスタートした「ゴッホ展-空白のパリ時代-」は、37年の短い生涯の中で、32~33歳のいわゆる「パリ時代(1886-1888)」と呼ばれた頃のゴッホにスポットをあてた展覧会です。

画家として志したもののなかなか思うように事が運ばず悩み・苦悩した「パリ時代」。
唯一といっていい理解者が実の弟のテオでした。
この「パリ時代」にゴッホとテオは共同生活をしています。

テオの経済的・献身的支援のもとアトリエに通い絵画技術を学びシニャックやロートレックといった芸術家と交流をもち多くを吸収した時代でもありました。
日本の浮世絵の影響を受け、ゴッホの特徴でもある独自の色彩表現を確立したのもこのパリ時代でした。
そしてゴッホは、わずかこの2年半に27点の自画像を制作しています。

今回の展覧会では、8点の自画像が展示されています。



今展覧会のチラシにもなっているゴッホ作 「自画像」の作品の数々。
中段右端の自画像は、近年の研究で弟・テオの肖像画だと判明したそうです。



現在のゴッホ研究は、テオに宛てた書簡をもとに検証されています。
私もこの展覧会にあわせてテオの伝記本「テオ・もうひとりのゴッホ」を読んでいます。





ゴッホからテオに送られた手紙は大切に保管されていたようでそんなところでも兄を思う弟・テオの姿が垣間見られます。


この他、今展覧会では謎解きのようなスリリングな展示もされているそうで気になります。
「ゴッホ展-空白のパリ時代-」は、4/2(火)-5/19(日)まで京都市立美術館にて開催中です。



ロベール・ドアノー 写真展

テーマ:絵画・写真
自らを「イメージの釣り人」と称し、独自の感性と洞察力でパリの情景やそこに住む人々の日常をいきいきと映し出した写真家 ロベール・ドアノーの生誕100周年を記念する回顧展が京都で開催中です。


ドアノー パンフ表



ロベール・ドアノー(1912-19924)は、パリ郊外にあるジョンティイに生まれ、モントルージュで育ちました。
パリの表も裏も知り尽くした「パリの住人」です。
パリのエコール・エステイエンヌでグラフィックアートを学びリトグラフの工房で働いた後、写真家に転身します。
1934年から約5年間、フランスの自動車メーカー「ルノー」で産業カメラマンとして入社しますが、プリントの出来栄えにこだわりを持ちすぎて遅刻が重なり退社を余儀なくされます。
その後、フランス軍へ入隊。第二次世界大戦中はフランスのレジスタンス活動に参加します。
そこでの抗独地下活動の様子は、記録写真として収められており第一級歴史資料として貴重なものとされています。
戦後は、フリーのカメラマンとして国内外のグラフ誌を中心にルポルタージュ写真の寄稿やファッション雑誌「ヴォーグ」の契約カメラマンとして報道とファッションを中心に活躍をしました。


ドアノー1


今展覧会のみどころは…。

ドアノーの原点ともいうべきパリの名所や郊外の情景。

何気ない人々の日常生活を撮影した作品の数々。

この他、レジスタンス活動時の貴重な写真。

ココ・シャネルやパブロ・ピカソ、ジャコメッティといった著名人のポートレート作品。

今回初公開となるパリの変遷を撮影したDATAR国土整備庁のカラー写真シリーズ。など

生前ドアノーが撮りためたネガを保存・管理しているアトリエ・ロベール・ドアノーの全面的な協力をもとに約40万点より200点を精選しドアノーの多岐に渡る活動がうかがえる写真展です。

会場の展示パネルの所々にはドアノー自身の言葉が記されていました。
一部を紹介すると…


「人生を通して自分のための劇場を作り続けてきた」

「見た人に物語の続きを想像してもらえるような写真を撮りたい」

「私はイメージの釣りびと -待つ・観察・気配を消す- 待つことで得られる奇跡の瞬間!」

ドアノーのメッセージを心に留めながら彼の歩いた風景や時代を写真を通して知ることができました。

古き善きパリの薫りを今に伝えている展覧会です。

ドアノー パンフ 裏


「生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー」は、
2月24日(日)まで美術館「えき」kyotoでご覧いただけます。


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fumi

7年程、キュレーターをしていました。
現在は、未熟ですが作家のサポートをしています。
交流のある作家の紹介や展覧会の情報など書き綴っていきたいと思います。

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