回れ回れ糸車
テーマ:妖怪徒然話
2009/01/31 22:04
ディズニーの眠れる森の美女。
魔女マレフィセントに「16の誕生日に糸車の針に指を突き刺し、そして死ぬ」
と呪いをかけられたオーロラ姫を守ろうと、
父である王ステファンが国中の糸車を集めて燃やしてしまうという場面がありました。
きっとこの国は繊維産業はからっきしだったことでしょう。
オーロラ姫が16になるまでいったい国民はどうしていたのでしょう?
昔話のマジックです。
さて、今回はそんな糸車をカラカラ回して糸を取る妖怪のお話です。
昔々、岩手県にあった沢内村というところに入る街道に橋があり、
その袂にいつの頃からか夜になると一軒の家が現れて化け物が出る、
という噂が囁かれるようになっておりました。
その噂を聞きつけた弓の腕に覚えのある侍が化け物退治と意気込んで、
その家の現れるという橋の袂に向かったのでした。
行ってみると、確かに怪しげな一軒家が建っています。
格子窓からそっと中を覗いてみますと、白髪の老婆が一人、行灯を携えて、
糸車をカラカラと回して糸を取りながら、針仕事に精を出しているようでした。
その老婆が化け物に違いないと思った侍は弓を張り矢を構えると、
老婆にめがけて放ったのでした。
すると、勢いよく飛び出した矢をその老婆は易々と手で掴み取ったのでした。
それから何本か矢を放ちましたが結果は同じ。
それっきり、その侍を見かけることはなかったといいます。
これを聞いた弓の名人といわれる人たちが次から次へと化け物退治に向かいましたが、
次から次に行ったということは皆、誰一人帰ることが無かったということです。
あとはもう、弓が引けるのは腕には自身がなく、
日ごろから書物を読みあさっていた侍だけでした。
嫌々ながらも弓を携えてその家に向かう途中で、ふと頭に
「将を射んとすれば、まず馬を射よ」という言葉がよぎったのでした。
そして、いよいよ一軒家。
ついに老婆と向かい合ったその侍は、まずは老婆に矢を放ち、
老婆が矢を掴んだ隙に、すかさず傍にあった行灯を射抜いたのです。
そのとたん、老婆は断末魔のような悲鳴を上げ、
行灯も倒れて、明かりがスーッと消えていったのでした。
明けて翌日。
侍が再び、あの家のあったところへ行ってみると、
家は影も形もなく、矢に身を貫かれた年老いた狸が一匹死んでいたといいます。
この狸、一体何をしたのでしょう?
やられそうになったからやり返しただけ、ですよね?
マァ、数が多すぎたのかも知れません・・・。
それでも老婆ではなく行灯を本体としたところ、賢いですねェ。
一応の防護策はとっていた訳です。見破られてしまいましたが。
大事なものはあまり注目しないところに隠せ、という教訓ですかねェ?
あ、でも逆にも取れちゃいますネ(笑)
魔女マレフィセントに「16の誕生日に糸車の針に指を突き刺し、そして死ぬ」
と呪いをかけられたオーロラ姫を守ろうと、
父である王ステファンが国中の糸車を集めて燃やしてしまうという場面がありました。
きっとこの国は繊維産業はからっきしだったことでしょう。
オーロラ姫が16になるまでいったい国民はどうしていたのでしょう?
昔話のマジックです。
さて、今回はそんな糸車をカラカラ回して糸を取る妖怪のお話です。
昔々、岩手県にあった沢内村というところに入る街道に橋があり、
その袂にいつの頃からか夜になると一軒の家が現れて化け物が出る、
という噂が囁かれるようになっておりました。
その噂を聞きつけた弓の腕に覚えのある侍が化け物退治と意気込んで、
その家の現れるという橋の袂に向かったのでした。
行ってみると、確かに怪しげな一軒家が建っています。
格子窓からそっと中を覗いてみますと、白髪の老婆が一人、行灯を携えて、
糸車をカラカラと回して糸を取りながら、針仕事に精を出しているようでした。
その老婆が化け物に違いないと思った侍は弓を張り矢を構えると、
老婆にめがけて放ったのでした。
すると、勢いよく飛び出した矢をその老婆は易々と手で掴み取ったのでした。
それから何本か矢を放ちましたが結果は同じ。
それっきり、その侍を見かけることはなかったといいます。
これを聞いた弓の名人といわれる人たちが次から次へと化け物退治に向かいましたが、
次から次に行ったということは皆、誰一人帰ることが無かったということです。
あとはもう、弓が引けるのは腕には自身がなく、
日ごろから書物を読みあさっていた侍だけでした。
嫌々ながらも弓を携えてその家に向かう途中で、ふと頭に
「将を射んとすれば、まず馬を射よ」という言葉がよぎったのでした。
そして、いよいよ一軒家。
ついに老婆と向かい合ったその侍は、まずは老婆に矢を放ち、
老婆が矢を掴んだ隙に、すかさず傍にあった行灯を射抜いたのです。
そのとたん、老婆は断末魔のような悲鳴を上げ、
行灯も倒れて、明かりがスーッと消えていったのでした。
明けて翌日。
侍が再び、あの家のあったところへ行ってみると、
家は影も形もなく、矢に身を貫かれた年老いた狸が一匹死んでいたといいます。
この狸、一体何をしたのでしょう?
やられそうになったからやり返しただけ、ですよね?
マァ、数が多すぎたのかも知れません・・・。
それでも老婆ではなく行灯を本体としたところ、賢いですねェ。
一応の防護策はとっていた訳です。見破られてしまいましたが。
大事なものはあまり注目しないところに隠せ、という教訓ですかねェ?
あ、でも逆にも取れちゃいますネ(笑)