なぜ誘う?
テーマ:妖怪徒然話
2009/01/20 17:57
小学校や中学校、高校など、
不思議な光景が見られます。
女の子に多い気がしますが、
トイレに行くのにわざわざ仲良しグループで連れ立っていくのです。
なぜ一人で行かないのか?
なぜ行きたくもないのに付き合うのか?
不思議です。
でも、断れば付き合いが悪いと陰口を叩かれ、
「何あのコ?」みたいなことになるというのも聞きます。
その程度で、仲違いするのもどうかとは思いますが、
当人たちにとっては重要なことなのかも知れません。
でも、もう少し大らかな気持ちで人と付き合えるとイイのに、とも思います。
さて、強引に"誘う"つながりで持っていこうとしておりますので、
いきなりお話に入らせていただきます。
時は幕末、ところは江戸・麹町。
とある旗本の組頭が酒宴を開き、盛り上がっておりました。
けれど、招いた同心達のうち、一人が未だ姿を見せておりませんでした。
やがて、その同心がやって参りまして、さぁ呑もうと誘おうとしたところ、
「急な用事が御座いますので、今日のところはお断りさせていただきたい。」
と、まぁ、こんなことを申しまして、帰ろう帰ろうとするのです。
仔細を問いただしてみますれば、
「首をくくる約束をしたので。」というのです。
組頭は、その同心が乱心でもしたのではないかと見まして、
一杯酒を飲ませて、引き止めますと、
同心も落ち着きを取り戻したので御座います。
そして、その同心も加わって酒宴も宴たけなわといった頃、
突然の知らせが入ってきたのです。
喰違御門で首吊りが出たというではありませんか。
組頭はサテは「縊鬼(くびれおに・いつき)」の仕業ではあるまいか?
と考えまして、同心にさらに詳しく約束の相手などを問うたのです。
すると、同心は
「なんだかぼんやりとしていて、よくは覚えておりませぬが・・・」
と語り始めたので御座います。
それによりますと、
宴席に向かう途中、喰違御門に差し掛かったところ
何者かが「首をくくれ。」と言ってきて、
どうした訳か断れない心持ちになり、
「それならば、組頭殿に宴席に出られぬとお断りを入れてからにしたい。」
と答えましたところ、
その何者かに「早う行って断って来い。」と送り出された、というのです。
これで得心がいったとばかりに組頭は同心に
「今でも首をくくりたいか?」とたずねて見ますと、
同心は
「あな怖ろしや、怖ろしや」と激しく首を横に振りながら答えたということです。
おそらく、この同心に取り憑いて命を取ろうとしていた縊鬼が
同心が正気を取り戻してしまったために、
他の者に乗り換えたのだろうということです。
死出の旅路に誘うこの縊鬼、
自殺者の霊が変化したもので、地獄への道連れを探して、
取り憑いた相手を、川に飛び込みたい気分にしたり、
首を括りたいような気分にさせて、連れて行くのだと言われております。
もしも、なんだかそんな気分になってしまったときには、
落ち着いて気を確かに持ち直して、一喝するか、
ほかの事に気を逸らしてしまえば逃れられるそうです。
渓流や、東尋坊など自殺の名所と言われる場所には
この縊鬼がいるのかもしれません。
不思議な光景が見られます。
女の子に多い気がしますが、
トイレに行くのにわざわざ仲良しグループで連れ立っていくのです。
なぜ一人で行かないのか?
なぜ行きたくもないのに付き合うのか?
不思議です。
でも、断れば付き合いが悪いと陰口を叩かれ、
「何あのコ?」みたいなことになるというのも聞きます。
その程度で、仲違いするのもどうかとは思いますが、
当人たちにとっては重要なことなのかも知れません。
でも、もう少し大らかな気持ちで人と付き合えるとイイのに、とも思います。
さて、強引に"誘う"つながりで持っていこうとしておりますので、
いきなりお話に入らせていただきます。
時は幕末、ところは江戸・麹町。
とある旗本の組頭が酒宴を開き、盛り上がっておりました。
けれど、招いた同心達のうち、一人が未だ姿を見せておりませんでした。
やがて、その同心がやって参りまして、さぁ呑もうと誘おうとしたところ、
「急な用事が御座いますので、今日のところはお断りさせていただきたい。」
と、まぁ、こんなことを申しまして、帰ろう帰ろうとするのです。
仔細を問いただしてみますれば、
「首をくくる約束をしたので。」というのです。
組頭は、その同心が乱心でもしたのではないかと見まして、
一杯酒を飲ませて、引き止めますと、
同心も落ち着きを取り戻したので御座います。
そして、その同心も加わって酒宴も宴たけなわといった頃、
突然の知らせが入ってきたのです。
喰違御門で首吊りが出たというではありませんか。
組頭はサテは「縊鬼(くびれおに・いつき)」の仕業ではあるまいか?
と考えまして、同心にさらに詳しく約束の相手などを問うたのです。
すると、同心は
「なんだかぼんやりとしていて、よくは覚えておりませぬが・・・」
と語り始めたので御座います。
それによりますと、
宴席に向かう途中、喰違御門に差し掛かったところ
何者かが「首をくくれ。」と言ってきて、
どうした訳か断れない心持ちになり、
「それならば、組頭殿に宴席に出られぬとお断りを入れてからにしたい。」
と答えましたところ、
その何者かに「早う行って断って来い。」と送り出された、というのです。
これで得心がいったとばかりに組頭は同心に
「今でも首をくくりたいか?」とたずねて見ますと、
同心は
「あな怖ろしや、怖ろしや」と激しく首を横に振りながら答えたということです。
おそらく、この同心に取り憑いて命を取ろうとしていた縊鬼が
同心が正気を取り戻してしまったために、
他の者に乗り換えたのだろうということです。
死出の旅路に誘うこの縊鬼、
自殺者の霊が変化したもので、地獄への道連れを探して、
取り憑いた相手を、川に飛び込みたい気分にしたり、
首を括りたいような気分にさせて、連れて行くのだと言われております。
もしも、なんだかそんな気分になってしまったときには、
落ち着いて気を確かに持ち直して、一喝するか、
ほかの事に気を逸らしてしまえば逃れられるそうです。
渓流や、東尋坊など自殺の名所と言われる場所には
この縊鬼がいるのかもしれません。