根付にあふれる宮さまの思い出

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 「最初に宮さまからプレゼントしていただいた根付(ねつけ)です」。高円宮妃久子さまは、馬の姿をした十二神将をかたどった根付の写真を前に、そう懐かしそうに語りました。夫で、2002年に逝去した故・高円宮憲仁さまとの思い出の根付。婚約が決まった後の久子さまの誕生日に、高円宮さまは自身の干支「午」にちなんだ象牙の根付を贈ったそうです。

 4月25日、久子さまは秋田市内で開かれた講演会でこのような「秘話」を語りました。久子さまはこの日、秋田市立千秋美術館で、宮さまと共に収集した装身具「根付」のコレクションを紹介する展覧会「掌中の珠―高円宮家コレクション」(6月7日まで)の開展式に出席するため、秋田市を訪れていたのです。式典に先立ち、根付の魅力や、収集をめぐる宮さまとの思い出を約1時間にわたって講演。皇族方の講演会は貴重な取材機会、見逃すわけにはいきません。

 根付は、和服の帯から印籠(いんろう)や巾着などを提げる際に使う留め具です。蒔絵(まきえ)や彫刻など精巧な技術が用いられた美術工芸品として、海外にも愛好家が多いといいます。高円宮ご夫妻はこの根付の収集家として知られ、久子さまは根付の研究論文で2012年に大阪芸術大で博士号を取得。今回の展覧会ではご夫妻のコレクションや、宮さま愛用の品々など約260点が披露されました。

 講演や展覧会では、今まであまり知られていなかったご夫妻と根付をめぐる「秘話」がいくつか明らかになりました。

 根付の収集は、高円宮さまが始めて、久子さまが引き継いだと考えている人が多いようですが、久子さまは講演の冒頭で、自分が先だった、とにっこり。久子さまが、英国留学中に海外で日本の根付に出会い、その繊細かつ、どこかユーモアのある姿に惹かれ、徐々に収集を始めたそうです。宮さまは生前、「久子から根付病をうつされた」と度々語っていたそうで、収集は後にお二人共通の趣味となりました。

 また、宮さまは、皇族として、日本における根付の変遷が分かるようなコレクションにしようと考え、あるときから意図的に収集方法を変えたそうです。結果、高円宮家コレクションには、現代作家の作品ばかりでなく、18~19世紀に制作された古い根付も数多くそろうことになりました。

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